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外国人労働者の活用、検討に着手=全ト協

2020.03.24

全日本トラック協会(坂本克己会長)では2020年度から、外国人労働者の活用に向けた対応策の検討に着手する。新型コロナウイルス感染拡大で荷動きが低迷し、一時的にドライバー不足は若干緩和しているものの、将来的には厳しい採用環境が続くと予想される。外国人をドライバーとして活用するには運転免許や言語といった課題があるが、トラック運送業界の意向などを確認したうえで、現行の外国人在留資格へのドライバー職の適用可能性を探る。

厚生労働省が発表した1月のトラックドライバーを含む自動車運転職の有効求人倍率(常用、パートを含む)は3・14倍で、前月比0・25pt減、前年同月比0・05pt減となり、若干緩和したものの、昨年7月以降、3倍を超える高い水準が続いている。また、全ト協の景況感調査でも1~3月の見通しで「労働力が不足する(「不足」「やや不足」の計)」割合は約7割にのぼり、雇用の状況は依然として厳しい。

昨年4月の入管法改正では、深刻な人手不足と認められた業種に新たな在留資格「特定技能」が導入されるなど、産業各分野で外国人材の受入枠が拡大した。物流業界では日本冷蔵倉庫協会が専門の部会を設けて検討を開始するなど、外国人労働者の活用可能性に関する研究が進みつつある。こうした中、全ト協では人材確保対策の一環として、20年度は外国人労働者の実現に向け、関係機関等と調整するなど検討を進める。

外国人労働者の活用に向けた対応策の検討は全ト協の経営改善情報化委員会が所管となる。トラック運送業界では外国人ドライバーの活用に積極的な意見がある一方で、安全面などで慎重論も根強い中、20年度の事業計画では「外国人労働者の実現に向け」と従来よりも踏み込んだ表現になっている。

外国人労働者を活用するには、日本から途上国への技術移転を趣旨とする「技能実習制度」における職種指定か、人手不足解消を目的とし、現在は14業種のみに認められている「特定技能」への追加認定が可能性として考えられる。ただ、現行の外国人在留資格では日系人や日本人の配偶者などを除きドライバー職は認められていない。
(2020年3月24日号)


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