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「強みである小型荷物をさらに伸ばしていく」=日本郵便・衣川和秀社長

2020.02.25

日本郵便の衣川和秀社長(写真)は19日、主要メディアとの共同インタビューに応じた。衣川氏はかんぽ生命の不正販売問題で引責辞任した前経営陣に代わって1月6日付けで就任。インタビューの中で衣川氏はかんぽ問題について「1月末に業務改善計画を提出したが、まずはその着実な実行を通じてお客様の信頼を回復することが第一」との認識を示した。また、ゆうパック事業の現状については、景気減速や同業他社との競合、EC大手の配達自社化などの影響から市場の伸びが鈍化しているとした上で、「強みである小型荷物をさらに伸ばしていきたい」との方針を示した。インタビューの発言要旨は以下の通り。

《かんぽ生命の不正販売問題》

1月末に監督官庁に業務改善計画を提出したが、まずはその着実な実行を通じて、お客様の信頼を回復することにつなげていくことだ。信頼していただけるかどうかはお客様が判断することであり、どこまで、何をやれば必要十分条件かは、私からは申し上げられない。世の中にお約束したことをきっちりやっていくしかない。(かんぽ生命の)営業再開についても、まずはやりますと言ったことをやってからでないと、お客様のご納得は得られないと思う。

《ゆうパック事業》

宅配便市場の伸びが全体として鈍化しており、当社もその影響を受けている。背景には同業者間の競争激化に加え、デリバリープロバイダに代表されるEC大手が自前の配達網を構築する動きが都市部を中心に進み、その影響から厳しいものになっている。その一方で、コストを抑制する動きから荷物の小型化が進んでおり、「ゆうパケット」は好調だ。当社の強みである小型荷物をさらに伸ばしていきたい。そのために、もう少し厚めの荷物にも対応できる「ゆうパケットプラス」のサービスも開始しており、好評を得ている。基本的には小型荷物を伸ばしていく方針だ。また、不在再配達への対策として、置き配や「はこぽす」などの受け取りやすさにも注力していくほか、「ゆうプリタッチ」など差し出しやすさにも配慮することで顧客の裾野を広げていきたい。
価格競争面では、デリバリープロバイダは荷物をかなり安く引き受けていると聞くが、我々はそう簡単に安値というわけにはいかない。その分、高い品質を保っており、品質と価格の両面を見て選ばれるようにしていきたい。あとは、顧客のニーズをいかに吸い上げて有機的にサービスにつなげていくか総合的な営業力の勝負になると思う。

《郵便法改正と労働力不足》

(普通郵便の土曜日配達を廃止する郵便法改正の国会提出のメドが立っていないが)法律改正については、我々としてはできるだけ早くお願いしたいが、法改正自体は政府の判断であり、何とも申し上げられない。だた、かんぽ問題でお客様に不利益を生じさせている状況の中であり、これにきちんと対応しないと、郵便法改正といっても理解を得ることは難しいだろう。まずは改善計画をきちん実行した上で、政府がどう判断するかだと思う。
労働力不足の状況は引き続き厳しいものの、ひところよりはやや落ち着いて、ひっ迫度は下がっている。しかし基本的には厳しい状況に変わりはない。中長期的には機械化・情報化が貢献できるだろう。自動運転やドローン、AIを使った業務の効率化を進めたい。郵便配達などラストワンマイルは引き続き人が中心になるが、経験や勘に頼っていた配達ルートをAIを使って合理化し、一筆書きにすることにトライしており、それが実現できれば大きな効率化につながる。大型の地域区分局では現状でもかなりの機械化・自動化が進んでいるが、さらなる機械化の余地があると考えている。

《国際物流/トールグループ》

(国際物流部門を担うトールグループが赤字になっているが)全般的な状況として外的環境に恵まれていない。豪州経済が減速しており、中国の減速を受けて資源輸出が停滞している。また米中貿易摩擦で国際物流が変調しており、トールは苦戦している。これまで共通部門の集約化・システム化を進めてきたが、それを着実に進めてほしい。アジア地域は発展の余地があると思っており、そこを強化すべき。最近、トールの経営陣が変わったが、そこはしっかりと取り組んでほしい。

《新型コロナウィルス対応》

(15日に中国向けにチャーター便を実施。2月中に6便を予定)そもそも、郵便物流を担当するものとして郵便物や荷物の滞留はあってはならない。何とかしたいというのが素朴な思いであり、チャーター便を実施した。今後の見通しについては、変数があって確定的なことはお示しできない。当社ができることとして、中国へのチャーター便に加え、第3国経由での中国への輸送も模索している。UPU(万国郵便連合)からの情報では、中国国内での配達にも時間がかかっているようだ。日本で引き受けしている荷物の量は現状少し落ち着いたが、この先どうなるか分からない。今の段階では正常化までもう少し時間がかかると見ている。

《東京オリパラ対応》

東京都および組織委員会からの要請に従って、大会の成功に最大限協力していく。課題は大きく2つあり、ひとつは東京と地方をつなぐ輸送をどうするか。もうひとつは五輪関連施設周辺のポストの取集や配達をどうするか。ただ、高速道路の入口や出口を何時に開閉するかなどの詳細が決まっておらず、道路の閉鎖なども完全に決まっていない。現段階でいくつかのシミュレーションをしているが、詳細が決まらないとポストの投函口をふさぐかなどの細かい対応が決まらない。決定次第、すぐに動けるように準備している。
(2020年2月25日号)


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