【物流会社】日新が新中計で自動車、化学品・危険品、食品を重点分野に
日新(本社・横浜市中区、筒井雅洋社長)は2018年3月期を初年度とする中期5ヵ年経営計画で「自動車」「化学品・危険品」「食品物流」を重点分野に据え、各分野の売上を伸長させることで、売上高2300億円(17年3月期比14・3%増)、営業利益74億円(32・1%増)、経常利益77億円(24・1%増)、純利益53億円(20・4%増)を目指す。5月26日に東京都内で開かれた17年3月期の決算説明会で、筒井社長が発表した。さらに、10年後である27年3月期の姿として売上高3000億円、営業利益100億円超を視野に入れ、「物流業界で現在は15位だが、トップ10入りを目指したい」(筒井氏)とした。
中期計画ではとくに、利益率の高い海外事業を成長させることで営業利益率を17年3月期の2・8%から3・2%へと引き上げ、「タイやインドといったアジアでの収益ドライバーを確立したい」と筒井氏は説明した。
自動車関連物流では計画最終年度(22年3月期)の売上高を454億円(17年3月期比31・9%増)に拡大。日本での新規顧客開拓に加え、メキシコを中心とした米州地域の倉庫業務拡大やアジアでの域内物流網の拡充、欧州での非日系部品メーカーの取り込みなど海外を伸ばす。計画内にはマレーシア・マラッカ、米国・オハイオ、タイ・プラチンブリで倉庫を新設する予定にある。
化学品・危険品物流の売上目標は195億円(41・3%増)。神奈川県横浜市で既存施設の建て替えによる化学品・危険品倉庫の開設を検討するほか、アジアでも構内作業やISOタンクコンテナ輸送、域内物流といった多様なサービスを提供することで顧客を開拓し、米州でも「庸車や倉庫賃貸などで体制を整備し、まずは危険品事業に参入したい」と筒井氏は意欲を示した。
食品物流は現在全体の8割を日本国内の売上が占めるが、アジア事業を大きく伸長させることで、計画最終年度には120億円(34・8%増)を達成する。計画内には東京平和島、横浜本牧ふ頭、神戸摩耶での冷蔵冷凍倉庫新設を予定するが、このほかにもベトナム日新などから低温倉庫の話が寄せられていると紹介した。また、次期中期計画内には福岡アイランドシティでも一部で食品を扱える温度管理倉庫の開設を見込む。
これらに加え、資材管理アプリの展開や先進技術の活用、AIを利用した提案型営業などIoTの対応も強化する。5年間の新規設備・投融資は260億円を予定し、更新投資は100億円の見通し。
17年3月期の連結業績は、売上高2012億900万円(前期比0・2%減)、営業利益56億700万円(0・4%増)、経常利益62億6600万円(6・4%増)、純利益44億5700万円(39・5%増)。4期連続の増益も、為替変動や中国の成長鈍化で売上高、営業利益は期初計画に達しなかった。物流事業全体の売上高は1428億6700万円(2・3%減)、営業利益41億1600万円(5・5%減)だった。
18年3月期の連結業績予想は日本国内事業の回復とアジアの成長で、売上高2070億円(2・9%増)、営業利益58億円(3・4%増)、経常利益60億円(4・3%減)、純利益46億円(3・2%増)を見込む。
(2017年6月1日号)