外国人労働者「解禁に対応できる準備を」=運輸労連/定期大会
全日本運輸産業労働組合連合会(運輸労連、難波淳介委員長)は4~5日の2日間、盛岡市で「第52回定期大会」を開催し、2019~20年度運動方針、19年度の予算などを決定した。
大会の冒頭、挨拶に立った難波委員長はまず、トラック運輸産業における平成の30年間を振り返り、「規制緩和により事業者数が1・5倍に増加する中、産業空洞化でピーク時よりも25%減少した国内貨物を数多くの事業者で奪い合う不毛な運賃ダンピング競争が発生した。その結果、全産業平均と比較すると、年収で2割低く、労働時間が2割長い労働実態をつくり出してしまった。それにより、産業の魅力が低下し人材不足が生じ『物流が止まってしまうかもしれない』状況が現実の問題として浮かび上がってきた」と述べ、その結果「真荷主や元請荷主と下請事業者との商慣習を見直し改善すべきと認識され始めている」と指摘。
足元の人材不足対策については、外国人労働者の受け入れ問題に言及し「近年、人手不足に悩む経営陣からは、外国人労働者受け入れの強い要望が出ているが、トラック運転手としての外国人労働者の受け入れには慎重な立場だ」と運輸労連の立場を表明した一方、「日本の便利を支える産業である運輸産業にも多くの外国人労働者が就労している実態に正面から向き合い、仮に受け入れ解禁があっても対応できるよう準備を進めておく必要がある」と強調した。
隊列走行・自動運転などAI時代の物流への対応については「近い将来、『物流を止めない』ためには、AIや自動運転と人が共存を図ったシステム構築が必要。人・マンパワー主役の近未来に向けた物流を創造しながら、技術革新の流れにしっかりとキャッチアップし、次世代物流に対する労働組合の関わり方を議論していきたい」と表明した。
20春闘に向けた対応では「19春闘では、各単組の頑張りから月例賃金や一時金。臨時給の引き上げが目立ち、運賃収受引き上げ分を賃金増額分に回すなど20数年ぶりの引き上げ額となった」と成果を強調した一方、「人手不足は全産業的な課題であり、他産業においても賃金労働条件の引き上げが行われている。その結果、ますます産業間格差は広がっているかもしれない。トラック運輸産業に人を集めるために目指すべき賃金水準はいくらなのか、20春闘の議論につなげていきたい」と語った。
大会には、連合の神津里季生会長、立憲民主党の海江田万里最高顧問、岩手県の達増拓也知事、盛岡市の谷藤裕明市長、交運労協の住野敏彦議長らが出席し、祝辞を述べた。また、5日には運輸労連顧問の赤松広隆衆議院副議長も駆けつけ、祝辞を述べた。
(2019年7月9日号)