台風など災害予測時に臨時休業=日冷倉
日本冷蔵倉庫協会(的埜明世会長)は、台風などの災害発生予測時に必要に応じて臨時休業する。昨年近畿地方を襲った台風21号などによる冷蔵倉庫の被害を踏まえ、従業員の安全確保と取扱貨物の保全を図るための対応を検討した結果、「相当な被害が想定される場合には臨時休業することが望ましい」とした。鉄道の運休計画や各種警報・避難情報の発表など臨時休業基準の一定の基準を示した上で、個々の事業所でその必要性を判断する。日冷倉では「人命尊重と貨物保全の重要性を共有してほしい」と寄託者の理解・協力を呼び掛けている。
鉄道の運休、警報・避難情報などが基準
近年台風・集中豪雨等の自然災害が多発しており、冷蔵倉庫業界でも甚大な被害が発生している。昨年9月の台風21号では近畿地方の冷蔵庫で甚大な被害を受けたほか、トラックが強風の影響で横倒しになる事故も発生するなど、ドライバーの人命にも多大な影響を及ぼしている。
こうした中で、従業員の生命、ドライバーの人命と保管貨物の保全をどのように確保するかが課題となっており、日冷倉では業務委員会を中心に対策を検討。台風のシーズンを前に、このほど寄託者向けに「台風等災害発生予測時の臨時休業について」と題した文書をホームページに掲載した。
臨時休業基準としては、①鉄道の運休計画が発表された時②政府、気象庁、自治体から警報・避難情報が発表された時③台風等の進路と規模により冷蔵倉庫業務の遂行が困難と判断した時――のいずれかに該当した場合、会員事業所が必要と判断した期間休業する。台風の影響は立地条件により異なるため、判断は個々の事業所による。
業務の再開にあたっては、従業員の安全確認と業務実施人員の確保、冷蔵倉庫施設、機器の機能と安全、交通インフラの機能を確認後、再開する手順となっている。また、会員事業所が臨時休業したことに伴い発生した寄託者の損害については、標準冷蔵倉庫寄託約款(甲42条、乙39条)の規定により免責になると考えられている。
災害時は物流の混乱が予想されることもあり、冷蔵倉庫に限らず物流事業者に対し荷主からの無理な出庫要請、運行要請が行われ、鉄道や航空会社のように運行(運航)の可否の決定権が物流事業者にはないことが問題視されていた。また、物流拠点は港湾地区や郊外など公共交通機関の利用が不便で、災害時に従業員が出勤できないケースもある。
なお、昨年12月に成立・公布された改正貨物自動車運送事業法では、悪天候などで他の輸送機関が止まっているにもかかわらず、荷主が輸送を強要した場合、事業者のルール違反を惹起しかねない行為に該当すると解釈され、国交省の働きかけが行われる模様。倉庫など物流元請けも広い意味では“荷主”にあたり、改正事業法対策として倉庫などで災害予測時の営業の見直しが進む可能性がある。
(2019年7月2日号)