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アスクル川村氏が新委員長に就任=3PL協会EC物流委員会

2018.06.21

日本3PL協会のEC物流委員会は15日、東京都内で2017年度の成果発表会を開催した。同会では18年度の委員会推進体制として、3PL協会専務理事の加藤進一郎氏が委員長を退任し、アスクル執行役員BtoCカンパニー事業企画本部本部長の川村勝宏氏(写真)が新委員長に就任することが発表された。

発表会ではまず、川村氏が「新たなEC物流における勝ち筋」と題して、アスクルの物流施策や、EC物流業界全般の展望を語った。とくに、LOHACOの「Happt On Time」については不在率が2%に留まっている現状を報告。同サービスは1時間単位の配達時間指定と早朝6時から深夜24時まで受取可能な配送メニューだが、AIを駆使して全体のパラメーターをチューニングすることで、積載率の向上と最適配送を実現していることを紹介した。

「Happt On Time」では配送トラックの走行時間よりも軒先停車後の配達時間が長いことに注目し、ドライバーにリストセンサーをつけるなどして行動を分析。駐車場所についてもデータベース化して、ベテランドライバーの行動パターンを新人も使えるように、配送管理システムに盛り込んでいるとした。川村氏は「今後も物流のキーはビッグデータ、ロボティクス、人工知能であり、これらを駆使した物流センターの改善や配送効率の効率化が必要」と指摘した。

続いて、各ワーキンググループ(WG)の発表に移った。WG1では、増え続けるEC貨物に対する配送管理が一番の課題――として宅配支援機能を研究。具体的な事例を、運び手と受取手の有無をマトリックス図化した4パターンに分類して取りまとめた。とくに、運び手と受取手がともに無人のケースについては、「双方の同時性を解消できる、ストレスフリーな宅配システム」であり、宅配パイプラインやエアシューターの活用、宅配ロボットの活用拡大などの可能性を示唆。18年度は「三方良し」の宅配支援機能の構築に向けて研究を続ける。

WG2は「未来のEC物流」をテーマに、物流業界全般と参加メンバー各社が抱える物流課題を集約・分析。具体的な課題として、人材不足や倉庫不足、少量多品種物流への対応、業界イメージの悪さなどが挙げられた。18年度は、17年度の研究でアウトプットされた課題に対する解決の方向性を深堀し、作業の自動化や自動運転、モーダルシフト、分業制の推進、在庫のデータ収集・分析機能の実装、就業規則や福利厚生の改善、女性登用などの施策を検証する。

15年度から活動を開始したWG3は「シェアリングエコノミー」に着目。シェアリングサービスは運送や配車、倉庫で検討や実用化が進んでいるが、その他の分野は「まだこれから」として、実態を掴むためのアンケート調査を実施した。その結果、人材などのリソース不足が目立つとともに、余剰リソースが生まれる原因のひとつに季節波動があることが分かった。他方で、シェアリングサービスを利用したことがない会社は全体の9割を超えた。18年度はシェアリング可能な領域を調査するとともに、WG内で実際にシェアリングサービスを活用して効果を検証。最終的には実際のビジネスモデルまでつなげたいとした。
(2018年6月21日号)


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