ラクスル、「ハコベル」のマッチング率は9割
ラクスル(本社・東京都品川区、松本恭攝社長兼CEO=写真)は12日、東京都内で記者説明会を開催した。この中で松本氏は、運送マッチングサービス「ハコベル」について、「マッチング率は約95%に上る」と好調さをアピール。また、昨年7月に資本提携したヤマトホールディングスとの協業については「車両のマッチングではなく、ヤマトグループ内のBtoB事業における庸車管理を、ハコベルのテクノロジーを使ってデジタル化し、効率的に管理できる仕組みを開発している」と説明した上で、「両社でこの取り組みを物流業界全体に広げたい」と展望した。
ハコベルは、これまで電話などで行われてきた荷主や元請会社から運送会社への輸配送業務の依頼を、オンライン上で完結できるサービスで、同事業の2017年7月期売上高は1億6000万円、会員数は1万2000ユーザー。関東1都6県、関西2府2県と福岡県がサービス対象地域だが、早期に東海地域を始めとした主要な政令指定都市へ拡大したい考えにある。
現在の利用シーンのひとつは、弁当などの配達や大手宅配会社のラストワンマイル業務における軽貨物輸送で、個人事業主および運送会社の車両をマッチング。また、拠点間輸送などは2t車や4t車を中心に運送会社と荷主の依頼をマッチングしているという。
高いマッチング率を誇るが、その理由を松本氏は「既存の求貨求車システムと異なり、オペレーションに深く入り込んでいるためマッチング精度が高い」と説明。また、案件のほとんどが運送会社の下請け業務ではなく荷主からの直接の依頼であることも紹介し、「荷主と、運送会社のトラックの空きスペースをダイレクトに繋ぐことで、物流業界における多重下請け構造の解消にも貢献する」と強調した。
同社は登録された印刷会社と発注者側をマッチングするネット印刷サービス「ラクスル」事業とハコベル事業を展開し、今年5月31日にマザーズへ上場。松本氏は事業全体のコンセプトについて「20世紀は大企業による寡占の時代だったが、21世紀はプラットフォームが大企業に代わる産業インフラとなる。産業構造の下にいる小さな会社をネットワークして仮想的に巨大企業を作り、利用者へダイレクトにつなぐことで、低コストでサービスを提供できる」と述べた。
(2018年6月19日号)