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F‐LINEが共同物流を全国展開

2018.05.10

F‐LINE(本社・北海道北広島市)の深山隆社長は4月27日、本紙のインタビューで、来年4月の食品メーカー物流子会社との事業統合後の新体制に向けた展望を語った。食品メーカーの共同物流の全国展開とともに、日用雑貨品など他業種にも共同物流のプラットフォームを応用拡大。将来的には、原材料の調達や海外物流、受注センターや通販物流の共同化の可能性も含め、幅広く研究テーマとして事業探索していく意向を明らかにした。

味の素、カゴメ、日清フーズ、ハウス食品グループ本社の合弁会社として2017年3月に発足以降、北海道エリアでの共同配送、幹線輸送の共同化など着実な成果を上げてきた。食品メーカー6社の物流拠点の統合と共同配送により車両数約2割削減を実現し、同時に積載効率向上、CO2削減でも目に見えて成果を上げた。

「北海道エリアの共同配送のモデルを発展させ、家庭用加工食品から業務用、冷凍・チルド食品、日用雑貨品・化粧品にも共同物流プラットフォームを広げ、F‐LINEの『F』を『Food(食品)』から『Future(未来)』に発展させたい」と深山氏は話す。

今後の共同物流の全国展開では、東北、北陸・東海、中・四国、九州など、それぞれ順次実行レベルに移す方針。一方、メーカー側の生産体制の再編、増産など各社の動きを踏まえ、「現行の生産体制における商品の最適な供給を基本にしながら、リアルタイムに情報を共有し、(生産体制の)変更に対応できる幹線物流体制を整える」。
ミッションである「食品物流における永続的な競争力の実現」に向け、食品物流の知見に長けた『人財』の開発・育成に取り組む。「特有の荷扱い、保管技術、温度管理、日付管理、トレーサビリティ、フードディフェンスといった諸課題に対応し、消費者動向も含め食品を扱う上での知識・感度・感性を備えた独自の『物流人財』が競争力につながる」と話す。

物流新技術のR&Dでは「着荷主のメリットも考慮しながら食品物流への適用(技術アプリケーション)を検討する」。ドラッグストア等届け先が食品と重なりつつある日用雑貨品との共同物流も視野に、「共同保管はにおいの問題でハードルがあるが、2層式トラックによる短時間の混載の可能性など近未来を見越して研究したい」と語った。
なお、食品メーカー5社(味の素、カゴメ、日清オイリオグループ、日清フーズ、ハウス食品グループ本社)は4月26日、来年4月に全国規模の物流合弁会社を立ち上げると正式発表。味の素物流、カゴメ物流サービス、ハウス物流サービス、F‐LINE、九州F‐LINEの各社の物流機能を再編し、味の素物流を存続会社とした事業統合を行う。

新会社は商号を味の素物流から「F‐LINE㈱」に変更。なお、味の素物流では18年4月1日付で現業を担う連結子会社6社を既に吸収合併している。「現場に競争力の源泉があり、直接改革の手を入れる必要がある」(深山氏)とし、来年発足する新会社はメーカー直結の「現場一体型の物流ソリューション会社」としてスタートする。
(2018年5月10日号)


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