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NPP、パレット位置情報システム運用へ

2020.03.05

日本パレットプール(NPP、本社・大阪市北区、辻幸則社長)は2020年秋からパレット位置情報管理システム「フクLOW」(フクロウ)を順次導入していく。同システムは物流用レンタルパレットに小型発信器を取り付けることで位置情報の把握を可能とする。顧客はこのシステムにより、Web画面上でパレットの現在地を地図上に表示できるだけでなく、利用先住所以外での目的外の使用や長期滞留などの警告情報を受け取ることができるため、紛失や滞留を防ぐことができる。

「フクLOW(イメージ図)」は低消費電力で長距離の通信が行えるLPWA(広域ネットワーク通信)サービスと小型発信器を組み合わせたシステムで、パレットに簡単に取り付け可能。現在は実証実験用に300枚のパレットにテスト用小型発信器を取り付け、顧客数社の協力を得て稼働状況を検証中。検証結果を踏まえた上で、秋頃から本格運用を開始する。

2月26日に会見した辻社長は「今後3年間をかけて約100万枚のパレットに小型発信器を取り付ける計画で、最終的には保有する全パレットを『フクLOW』で管理できる体制を目指す」と述べ、「このシステムを運用することで、紛失や滞留が減ることから顧客にも当社にもメリットが生じる。アラート機能を活用することで顧客は利用するパレットの流通範囲や期間を外れた動きを把握することができ、紛失リスクを低減できる」と強調。その上で「システム導入には一定の投資が必要となるものの、それを上回る効果が期待できることから、システムを導入した場合でもレンタル料金の上乗せの必要はないと考えている」と説明。加えて「将来的にはパレットと積載貨物とを一体として紐づけることで、精度の高いトレーサビリティの実現を図りたい」と展望した。

低コストネットワーク活用、工場内でも安全な端末を使用

同システムの通信ネットワークは、京セラコミュニケーションシステム(KCCS、本社・京都市伏見区、黒瀬善仁社長)が展開するLPWAでIoT専用ネットワークの「Sigfox(シグフォックス)」を活用する。シグフォックスは低価格・低消費電力で長距離伝送を特長とし、他の通信の影響を受けにくい耐障害性と幅広いエリアで活用できる安定性に加え、他の通信手段と比べ、大幅な低コストで利用できることから近年利用が拡大している。

シグフォックスに対応した小型発信器は電子・電気機器のホシデン(本社・大阪府八尾市、古橋健士社長)が製造したもので5年間バッテリー交換が不要な小型バッテリー(塩化チオニルリチウム電池)を内蔵。発火物規制エリアでも安全に使用できるよう電気火花などにより可燃性ガスに点火することがない「防爆構造」とし、工場内での利用にも対応できる。また、電子タグ(RFID)やGPS端末を搭載型発信器よりもコストパフォーマンスに優れている。
(2020年3月5日号)


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