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営業拠点からの発注をパレット単位に=伊藤園 

2019.08.08

伊藤園(本社・東京都渋谷区、本庄大介社長)は、全国の営業拠点向けの製品供給で物流の負荷軽減に取り組む。営業拠点からの発注をパレット単位に切り替え、ピッキングや検品時間を短縮。午前中の配送を午後にシフトすることでトラックの回転率向上にもつなげている。今年は夏期の出荷のピークを見据え、在庫を1~2割上積みしており、安定供給を実現するとともに、出荷倉庫間の横持ちも削減。一連の取り組みを通じて物流会社との連携を強化する狙いもある。

合弁会社トーウンロジテムが共同物流

伊藤園では生産・物流を全国5ブロックに分け、飲料製品の生産では市場の変化に柔軟・迅速に対応するため、製品の企画等は自社で行い、製造は全国約50ヵ所の製造委託工場に委託して生産する「ファブレス方式」を採用。全国196ヵ所の営業拠点(支店・営業所)が管轄地域内で地域密着型営業を行う「ルートセールス」というマーケティング戦略に特色がある。

営業拠点には在庫機能を持たせ、出荷倉庫から営業拠点に製品を供給し、そこから顧客に届けるのが基本のスタイル。一方では、量販店への製品供給は各店舗への納品から、量販店の大型物流センターへの一括納品が主流となっており、全出荷量の全体の1割強を占める。このため7月現在、量販店向けにシール貼りや店舗ごとの仕分けなどに対応できる物流センターを全国に20ヵ所に配備している。

安定供給に向けた取り組みの一環として、昨年の冬に196ヵ所の営業拠点からの発注単位を見直した。従来は1ケースから対応していたが、パレット単位(一部の商品についてはその半分の半パレット単位)に変更。これにより、ピッキング時間の削減や、出荷側、営業拠点側双方の検品時間を削減。“ミルフィーユ出荷”が解消され、パレットのレンタルコストの低減にもつながっている。

また、従来は出荷拠点から営業拠点向けに午前10時に配送していたが、4月から午後の時間帯(「午後1時~3時」や「午後2時~4時」等)に変更。一般的に量販店物流センターへの直送は午前中が多いため、その配送を終えた車両が営業拠点への午後の配送に回れるなど回転率が向上し、結果として輸送力が増強。協力運送会社の運収アップにも寄与できる。このほか営業拠点の月末、月初の発注の平準化にも取り組んでいる。

量販店物流センター向けの配送対応を強化するため、伊藤園では2015年10月にトーモク、子会社のトーウンサービスと合弁会社トーウンロジテムを設立。トーウンサービスは他の飲料・食品メーカーから物流を受託しており、トーウンロジテムを通じた共同物流に着手しており、現在までに他メーカー1社と関東、中京地区で取り組みを開始。今後は納品先、季節波動や物量を考慮しながら水平展開を模索する。

さらなる効率化に向け出荷倉庫も拡充する。中・四国エリアなどにまだ空白地帯があることから、今期中をメドに1、2ヵ所整備する計画。配送距離を極力短くすることでエリアの集車力を高められる期待がある。また、物流センターは、このほど北海道石狩地区で新設し、全国で20ヵ所体制になったが、こちらも増設を検討している。物流部の高橋栄道部長は「協力会社の効率化や作業軽減に寄与し、『選ばれる物流』にしなければならない」と指摘する。

また、「ドライバーだけでなく、倉庫の作業員の確保も難しくなっており、今後はもっと状況は厳しくなるという予測もある。協力会社と一緒になって改善に取り組みたい」と強調。労働負荷の軽減のため、現在は手作業でパレタイズしている営業拠点向けの半パレット出荷について、上部から製品をつかんで半パレットに分ける荷役機械の導入可能性の検証も進めていく。
(2019年8月8日号)


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