トナミHD/中期計画は特積み、3PLなどで収益拡大へ
トナミホールディングス(本社・富山県高岡市、綿貫勝介社長)は11日、2018年3月期の決算と新中期3ヵ年経営計画(19年3月期~21年3月期)を発表した。新中期計画では「働き方改革」を経営の中心に据えた上で、特積み輸送の機能強化や3PL、M&Aの展開で営業収益の拡大を図る。同日、本社で開かれた決算説明会で綿貫社長(写真)は中期計画の目標値について「現体制での達成は厳しいが、M&Aを含めた数字でもあり、目標は大きく持つべきと考えて設定した」と説明した。
新中期計画では、テーマを「持続的な成長企業への進化!!Try & Growth “2020”」に据え、計画最終年度の21年3月期に売上高1500億円(17年3月期実績比14・6%増)、営業利益75億円(33・1%増)、経常利益78億円(27・6%増)、純利益55億円(74・1%増)をめざす。
売上目標の内訳として、環境変化や既存取引の目減りで30億円の減収を見込むものの、3PL事業の拡大と物流周辺事業の強化、特積み事業の適正対価の収受といった新規・既存業容拡大で130億円、M&Aで100億円を増収する。営業利益面でも働き方改革と燃料費負担増で15億円の減益予想を織り込むが、新規・既存業容拡大で25億円、M&Aで50億円を引き上げる。
施策の中心に位置付ける「働き方改革」では、既に導入済みのメンター制度が「従業員の定着率上昇にかなりの効果が出ている」(綿貫社長)として、引き続き、指導方法などのブラッシュアップを図る。また、老朽化施設を働きやすい設備へと改築するとともに、地域別賃金制度の採用なども検証していく。
収益拡大に向けては、主力の特積み部門の輸送機能向上と業務の効率性・信頼性の強化に加え、重点事業に据える3PL部門の強化とシェア拡大に取り組む。また、資本・業務提携やM&Aの積極的な展開による事業競争力の強化、物流サービスの適正対価の収受も進め、持続的な成長につなげる。
特積み事業では、「品質を向上すればお客様が増え、輸送能力が拡大する」(同)との考え方から輸送品質の向上に注力し、「多方面から貨物事故が少ないとの評価を受けている」ことを報告。また、関東などでの新拠点開設も視野に入れ、「輸送力のさらなる強化につながるのではないか」と述べた。
M&Aでは4月に新中期計画で第一弾となるケーワイケーの買収を発表し、物量が集中する関東での輸送力強化を図る。今後も、運送会社など物流会社を対象に据え、「後継者不足を背景に色々な話が来ている」(同)。前中期計画内に統合した中央冷蔵とテイクワンについては、「新施設こそまだないが、中央冷蔵ではトナミ第一倉庫物流と低温物流のノウハウを共有化したり、テイクワンでは引越事業と組んだりなどシナジーが出てきている」とした。
18年3月期決算は増収増益
18年3月期の連結業績は、売上高1308億8600万円(前期比4・3%増)、営業利益56億3100万円(10・0%増)、経常利益61億1000万円(13・5%増)、純利益31億5900万円(16・0%減)となり、前中期計画の目標値にはわずかに届かなかったが、増収増益を達成した。
主力の物流関連事業は、緩やかな輸送需要の回復の中、運賃・料金の適正収受や3PL事業の流通センター運営の充実で売上高1207億5100万円(4・5%増)。営業利益は、働き方改革の進展で人的コストや委託費の下払い費が増加したものの、運賃・料金の是正効果や輸送効率向上による負担軽減から49億7700万円(11・2%増)となった。
運賃の値上げについては18年3月期に目標の5%を達成。まだ、料金交渉を行っていない荷主もあり、19年3月期はさらに8%ほど上昇する見通しを示した。
その上で、2019年3月期の連結業績予想は売上高1350億円(3・1%増)、営業利益65億円(15・4%増)、経常利益67億8000万円(11・0%増)、純利益48億円(51・9%増)の2ケタ増益を見込む。
(2018年5月17日号)