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大阪~仙台間で「西濃専用列車」運行開始

2018.05.15

西濃運輸(本社・岐阜県大垣市、神谷正博社長)とJR貨物(本社・東京都渋谷区、田村修二社長)は9日、大阪~仙台間で7日から運行開始した西濃運輸専用列車の出発式を吹田貨物ターミナル駅で開催した。同区間を毎日1往復し、大型トラック60台分の荷物を鉄道にシフトする。西濃運輸の神谷社長は「労働力不足が顕著になる中、1人のドライバーがより多く運ぶか、ドライバーを使わないで運ぶかしか解決はない。そのための手法のひとつが鉄道へのモーダルシフト。今後もさらに鉄道シフトを考えていきたい」と語った。

1日往復で大型トラック60台分を鉄道シフト

7日から運行を開始した専用列車は今年3月のダイヤ改正で新設した。列車編成は20両で、このうち西濃運輸が専用枠を持つのは15両で、残り5両は一般利用。西濃は15両のうち吹田貨物ターミナル駅~仙台港駅間で11両、吹田~郡山貨物ターミナル駅間で4両を活用する。使用するコンテナは西濃の私有31ftコンテナで、輸送量は1列車当たり30個、往復で60個。利用運送は日本フレートライナーが担当するほか、仙台港駅を保有する仙台臨海鉄道が運行に協力する。

ダイヤは、下りが吹田発22時14分で、郡山到着が9時15分、仙台港着が12時45分。また、上りは仙台港発が22時35分、郡山到着が2時37分、吹田着が15時44分。JR貨物にとって、同区間において長距離幹線トラックの運行時間に合わせた夜間初の列車設定は初めてとなる。なお、今回の鉄道シフトにより、年間1万3810tのCO2排出が削減できる。

「カンガルーライナーSS60」と命名

9日に開催された出発式には、西濃運輸やJR貨物の関係者が出席。主催者を代表してJR貨物の田村社長は「西濃運輸さんは、17年5月から東京~福岡間の幹線輸送において、東京から大阪までをトラックで運び、大阪~福岡間を鉄道でリレーしていく取り組みを開始している。今回の専用列車はそれに続くもので、毎日往復で10tトラック60台分相当をシフトしていただいた。西濃さんが掲げるES(従業員満足)・CS(顧客満足)とESG(環境・社会・ガバナンス)という2本柱の実現の一助となれるよう、安全・確実に運行していきたい」と挨拶した。

また、西濃運輸の神谷社長は「労働力不足への対策として、トラック輸送ではトレーラなど車両大型化を進めているが、もうひとつの柱が鉄道へのシフト。今回、JR貨物さんからいいご提案をいただき、専用列車が実現した」と述べたのに続き、「当社ではこの列車を、カンガルーライナーSS60と命名した。吹田と仙台のSS、西濃の専用列車という意味のSS、さらにはセーフティー、スピード、サービスなどのSにもかかっている。これをスタートとして、長距離幹線における色々な対策をさらに進めていく」と語った。

輸送距離800㎞以上の幹線を鉄道シフト

西濃運輸では、グループの中期経営計画(17~19年度)において、輸送距離800㎞以上の長距離幹線輸送を鉄道にシフトしていく基本方針を掲げている。具体的には145便のうち計画最終年度となる19年度中に80便を鉄道コンテナに切り替える計画で、今回の専用列車の運行開始で70便までのシフトが完了する。神谷社長は「残り10便となるが、80便というバーをもう少し上げる必要もあると考えている」と語る。
さらに、今回のシフトによって削減できた労働力を他の路線に振り向けるほか、協力会社に委託していた運行を自社便化する考え。ただ、「それでも幹線乗務員は40人程度不足している。現在、2230人だが、2270人は確保していきたい。エリアの集配ドライバーを幹線ドライバーに変えていくことも含め、色々な対策を進めていきたい」と述べた。
(2018年5月15日号)


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