【物流・働き方】「中小にまで賃上げ波及を」=運輸労連・難波委員長
運輸労連の難波淳介委員長は2月27日に専門紙記者と会見し、2018春闘の状況について「大手事業者はおおむね好業績を維持している一方、中小事業者は適正運賃収受がなかなか進んでいない。運輸労連としては、3月中旬に迎える大手のヤマ場から6月までの長丁場となるが、大手の賃上げをどう中小にまで波及させるかが課題だ」との認識を示した。また、政府が進めている副業・兼業の解禁について「反対の立場で臨まざるを得ない。国が定めた法律すら守れない実態の中で、兼業・副業を認めることは難しい。認めるのであれば、やれるだけの産業実態をつくってからになる」と述べ、改めて反対の立場を表明した。
難波委員長は冒頭、各社の業績について「第3四半期までの業績はおおむね好調で、上方修正する企業もあった。その後、豪雪による影響が一部に出ているが、年度トータルでは好業績となっている。また、大手を中心に荷主に適正運賃収受を要請しており、6~7割の荷主から回答を得ているようだ。実際に運賃に転嫁されるのは4月以降になるが、労働条件の見直しにどう反映していけるかが大きな課題となる」と語った。その一方で、中小事業者では運賃転嫁が進まない状況があるとして、「大手の賃上げをどう中小にまで波及させるか、その策を練っていきたい」と発言。具体的には、「元請けと協力会社という関係の中では、荷主から適正運賃を収受した先には、協力会社にも適正な支払いをするべき。大手単組の役員にはそうした元請けとしての責任についてもしっかり点検して欲しいと要請している」と述べた。
また、「今春闘は、働き方に対する労使協議がこれまで以上に盛んになるという意味で、これまでの経済闘争中心の春闘とは違った様相になる。いま国会で法案審議が進んでいるが、政治の動きに翻弄されることなく、各単組が自社に見合った形での働き方改革の交渉を進めて欲しい。各社の創意工夫が加わって、はじめて働き方改革は完成する」との認識を示した。
副業・兼業には反対表明「やれる産業実態にない」
一方、副業・兼業の解禁については、トラック運輸産業への導入に反対を表明した。「全ト協も反対の立場であり、経団連も積極的ではない。ただ、最後は個別労使の協定によって決まるので、水際で止めるためにも組合組織として反対を表明することが必要」と述べた。また、世永正伸副委員長も「(解禁によって)安全・安心を確保できない業界もあることを認識して欲しい。トラック事業者も、副業・兼業でなく、フルで働いてくれる従業員を求めているのが大半だ」と語った。
(2018年3月6日号)