メニュー

【物流会社】SBSHD、M&A案件無く中期計画目標未達

2018.02.22

SBSホールディングス(本社・東京都墨田区、鎌田正彦社長)の2017年12月期決算は、中期4ヵ年経営計画「SBS Growth2017」の最終年度として掲げた同期の業績予想を大きく下回る数字となった。19日に開かれた17年12月期の決算説明会で鎌田社長は「創業30周年であるこの期に目標の2000億円を達成したかったが、M&Aが無かったことで未達となった」と忸怩たる思いを滲ませた。次期中期計画についても「M&Aを前提とした計画は現実的でないとの意見もある」として現時点では策定せず、「今は会社として将来どう発展していくかをまとめたい」との考えを示した。

中期計画では17年12月期の目標値を売上高2000億円、営業利益80億円と設定したが、実際の連結業績は売上高1528億7000万円、営業利益62億2900万円に留まった。計画のうち売上高450億円、営業利益18億円をM&Aで創出するとしていたが、目立った案件がなく数字を積み上げられなかったことが要因の一つ。一方で、M&A分を除いた自立成長分では目標の売上高1550億円、営業利益62億円をほぼ達成し、16年に売却したインド子会社の損失処理も「この2年で終結した」(鎌田氏)と既存事業の順調さをアピールした。

18年12月期は引き続き、主力の物流事業の拡大を図る。とくに3PL事業ではEC事業者などからホームページ経由での受注が増加しており、17年12月期は前期比7・6%増の588億円と伸長。18年12月期は計画値では3・7%増の610億円を見込むが「失注分のみを織り込んだ数字であり、実際には17年12月期と同規模の伸びになるのではないか」と強気な姿勢を見せた。

大型物流施設の開設も控える。20~22年に掛けて千葉県野田市に建設予定の「野田市瀬戸センター(仮称)」は建設面積約23万㎡に上り、1フロアの面積も2万6000~3万㎡となる計画。既に2万㎡分の引き合いが寄せられており、荷主企業と相談しながらAIやロボティクスといった自動化技術の導入も検討していく。これに先駆け、19年1月に竣工予定の「大阪南港物流センター」(大阪市住之江区、6万1000㎡)については大手百貨店が1万3000㎡を使用する計画も明らかにした。

物流シェアリング・プラットフォーム「ⅰGOQ(イゴーク)」は社内での車両マッチングが進み、繁忙期などの運送業務内製化につながったという。外部からは約20社の申し込みがあったが、活用には配車システムも必要として、今後は配車機能の追加も計画する。
これらに加えて、18年12月期は「世の中で人材派遣事業が成長しているのに、当社ではそこまで伸びていないのが課題」として人材事業への注力も強める。

EC配送業務は今期800台体制へ

米国大手通販会社などから受託するEC配送業務は1都3県で約470台を運行。今後も拡大させ、18年12月期中には800台規模まで増車する見通しだ。実現に向けては、主婦や高齢者といった短時間勤務を希望する人を軽貨物便車両の個人事業主として採用したり、運転免許を持たない人でも自転車などで配送できるような仕組みの構築を視野に入れる。鎌田氏は「昔、ダイレクトメールの配送で1万人の主婦を集めたこともある。運転免許がなくても配達したい人はいるはずで、カゴ付自転車などでの配送を実験してみたい」と話した。
(2018年2月22日)


関連記事一覧