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【物流・東京港】ドライバーから船社が選ばれる時代に?

2018.02.15

東京港でコンテナターミナル(CT)の長時間待機がきっかけとなり、荷主が起用船社を変更する事態が起きている。海上コンテナドレージ各社が混雑するCTからの搬出入を断っているため、同ターミナルに寄港する船社ブッキングの解約が相次いでいる。トラックドライバー不足を背景に、国際海上コンテナ輸送における陸上の“ラストワンマイル”が荷主の海上輸送の選択に与えるインパクトが増しており、船社がドライバーから選ばれる時代になってきた。

陸上を“運べない”ためブッキングを見直し

東京港中央防波堤外側で12月に開業した新たなCT(Y1)では、システムのアクセス不具合等が原因で、年明け以降、ゲートでの長時間待機が深刻化。東京都トラック協会海上コンテナ専門部会(菊池秀章部会長)の調べによると、1月10、11、12、15日はゲートの並びの時刻からゲートアウトまで5~7時間を要した。

同CTでの長時間待機により他のCTを利用する荷主のコンテナの搬出入に車両を回せなくなり、荷主からクレームも出始めたことから、同部会では1月17日付で運営会社宛に現状説明と対応策を求める要請文を提出。東京都港湾局および東京港埠頭にも同様に改善を要望した。

運営会社はCTの外に車両待機場を2ヵ所設けているが、2月に入り直近では、2ヵ所とも使用されていない。CTの内部で車両の列が収まっており、待機時間は大幅に短縮されている。その理由について「待機時間というよりも車両そのものが減っているためではないか」ともささやかれている。

車両が減っている件について、「コンテナを搬出するのに7時間、返却するのに7時間もかかるようでは、仕事にならない」と海上コンテナドレージ会社の経営幹部は話す。ドライバー不足で車両がひっ迫している中で、同CTからの搬出入作業を断る会社が増え、陸上を“運べない”ため海上輸送のブッキングを見直す荷主も出てきているという。

CTでの待機時間を記録、実態を“可視化”

トラック運送業界ではドライバーの長時間労働を改善するため、貨物自動車運送事業輸送安全規則を改正し、昨年7月1日から荷待ち時間の記録が義務化された。海上コンテナドレージでも工場・倉庫だけでなくCTでの待機時間も記録し、船社の選択権を持つ荷主向けに長時間待機の実態を“可視化”しようという機運が高まっている。

なお、CTでの長時間待機は、荷主がコスト削減のため船社との契約でフリータイムを延長し、CTを“倉庫代わり”に使っていることも一因とされる。コンテナ蔵置量が増えれば搬出入作業の非効率を招き、長時間待機につながる。起用船社の選定や契約のあり方も含め荷主の行動変化に期待する声も強い。
(2018年2月15日号)


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