【物流新技術】AI・IoTの活用を推進=JILS新年記者発表会
――AIやIoT、ビッグデータ、ロボティクスと相次ぐ先端技術が注目されているが、このような言葉が産業界を戸惑わせている感がある。荷主と物流企業がこれらの新技術を有効に活用するには、どのような着眼点からアプローチすべきか。
遠藤会長 冒頭、話したように2017年はAI元年だった。プラットフォームが確立されAIが使えそうと確認できたことと、市場がAIを受け入れる体制が整ったことがその理由だ。AIは良質なデータと良質なアナリシスで成り立っており、この2つが揃わないとAIのソリューションは実現しない。特に、良質なデータをいかに集めるかで、AIのソリューションとしての質が決まる。
当協会では「ロジスティクスIoT推進部会」「ロジスティクスKPI推進部会」があり、それぞれ活動している。IoT推進部会では、データの定義や共通プラットフォームの確立に注力している。一方、KPI推進部会では、サイバー空間で作成した全体最適を実際の物理空間でどう活用するかに取り組んでいる。ロジスティクスは重要な経済・生活のプラットフォームとなる。官民学が一体となって、日本発のインターフェイスを作るなどの努力を続けていきたい。
――昨年7月に閣議決定された「総合物流施策大綱」では強い物流というキーワードが打ち出された。物流業界では労働力不足対策、働き方改革、生産性向上といった課題がある。その解決に向けてどう対処していくのか。
川合副会長 物流を担う人材不足は構造的な問題になっており、社会インフラとしての物流機能を維持するのが困難になってきている。この状況を打破するには、労働条件の改善による人材確保、物流生産性向上の取り組みが欠かせない。AIやIoT、ビッグデータといった新技術を活用して生産性を上げていかなければならない。そのためには、物流に携わる者の連携が不可欠だ。
高い付加価値を生み出す物流に変化を遂げるためには、標準化が求められる。事業者間で受け渡す輸配送データや在庫情報など荷物データの標準化、パレット化による荷積みや荷卸しの時間短縮を目的としたユニットロードの標準化、荷姿や外装の梱包の標準化など、物流革命を実現するにはこれらの標準化が前提となる。物流事業者だけでなく、生産から出荷、流通に至るまで、物流に関わる事業者全体で取り組む必要がある。
――18年度のJILSの重点活動は。
橋爪専務理事 昨年、総合物流施策大綱が策定されたのを受け、強い物流を実現していくために取り組む。当協会ではAIやIoTの活用、標準化を進めていく。それに加え、物流現場改善のための手引書を作成した。現場からの改善にも注力していきたい。また、APLF(アジアパシフィックロジスティクス連盟)を通じて、グローバルなロジスティクスを支える人材育成にも取り組む。
今年は「国際物流総合展」の開催年となる。9月11日から14日までの4日間、東京ビッグサイトで従来より規模を拡大して開催する。ロジスティクスの高度化・効率化に役立つ情報を発信していきたい。
(2018年1月18日号)