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【海上輸送】ドレージひっ迫で1月も受注制限?

2018.01.09

東京港の海上コンテナドレージがひっ迫している。年末の繁忙期に続き、1月も受注制限が続く。荷量の増加、慢性的なドライバー不足、コンテナターミナルの混雑による稼働率悪化と3つの要因が重なり、多くの会社が1ヵ月先でも「車を回せない」状況にあるためだ。東京港の輸送能力のキャパシティが限界に達する中、フィーダー貨物の近距離輸送で陸送から内航船へのシフトも見られる。

車両不足で“超近距離のモーダルシフト”

東京港の2017年上半期の外貿コンテナ取扱個数は219万TEUで、前年同期比6・5%増加。荷量の回復により、年末の繁忙期にかけてコンテナターミナルの混雑が激しくなり、「特定のターミナルが混んでいた16年末と比べると、昨年末はどのターミナルも混んでいた」と海上コンテナ輸送業者は報告する。
東京都トラック協会海上コンテナ専門部会が14年に発表した調査によると、11年から3年間で運行稼動台数は約5000両弱減少。その背景として挙げられるのが、ドライバー不足、コンテナターミナルでの長時間待機による車両の稼働率悪化。ターミナルの取り扱い量が増え、混雑がひどくなる繁忙期は運行稼働台数がガクンと落ちる。

従来、船社のフィーダー輸送についても、系列の海コン業者が車両を手配できなくなっている。京浜港間のバージ輸送はもはや海コン業者のコンペティターではない。こうしたモーダルシフトの受け皿なしには、東京港を発着点とするコンテナ輸送は成り立たなくなっている現状もある。

ふ頭内のトランシップ貨物についても、船社が内航船を手配し、ターミナル間の“超近距離のモーダルシフト”が行われている。Aターミナルからの搬出後、Bターミナルへの搬入と2回ゲートの並びが発生する上に、輸送距離は数百m。半日の待機で1日1本のコンテナしか運べなければ、海コン業者も“お手上げ”だからだ。

なお、ドレージの代替輸送手段である内航船は、ゲートオープン時間に制約される陸送に比べ荷役時間の制約がなく、海上での長時間待機は発生していない。「海側優先の荷役を陸側に少しでも回してくれたら、待機も解消し、ドライバーも集めやすくなるのだが」と海コン業者のぼやきが聞こえてくる。

海コン業者の営業、“集荷”から“集車”へ

海コン業者の営業スタイルが変化し、従来は荷主、海貨業者に「仕事はありませんか」と“集荷”が主体だったのが、今は地方の協力会社を地道に訪問し、「ウチの仕事をやってもらえませんか」と“集車”の比重が高くなっている。「仕事はいくらでもあるが、車がない」という現状がうかがえる。

なお、慎重な受注姿勢が続く中、荷主の物流元請となる海貨業者では、配車の手配に追われて残業が増えているそう。何とか車両を確保するため、元請会社の協力会社を“一本釣り”して直接契約を結ぶケースもあるが、輸送会社を何十社も使うことにより車両を探す手間が余計に増えてしまうという。

こうした車両のひっ迫を受け、運賃も“底上げ”されてきている。改正標準貨物自動車運送約款に基づき、「待機料」を盛り込んだ運賃・料金の変更届出も進められている。荷主の庭先での「荷待ち」だけでなく、ターミナルでの待機についての対価も「待機時間料」として設定し、荷主や海貨業者、船社に働きかけていく機運も高まってきた。
(2018年1月9日号)


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