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【物流データ】「荷動き指数」14期ぶりプラス、トラック運賃は上昇基調=日通総研短観

2017.11.02

日通総合研究所(本社・東京都港区、宮近清文社長)が10月30日に発表した「企業物流短期動向調査(日通総研短観)」9月調査によると、7―9月実績(見込み)の国内向け出荷量「荷動き指数」は前期(4―6月)実績の「△1」から3ポイント上昇し「2」となった。プラスを示すのは2014年1~3月期以来14期ぶり。10―12月の見通しは3P上昇し「5」となり、引き続き、ゆるやかながら荷動きの回復基調は続く見通し。

一方、運賃・料金の動向指数は7~9月実績、10~12月見通しともに全モードでプラスとなり、全体の上昇基調は続く見込み。なかでもトラックの運賃指数は、7~9月実績は、一般トラック・特積みトラックともに「14」、10~12月見通しは一般トラックが「22」、特積みトラックが「24」となり、上昇圧力が一段と強まる見通しだ。

売上高に対する物流コスト割合の動向指数は、前期に対して7~9月実績が2P上昇の「18」、10~12月見通しが6P上昇の「24」となり、荷主はさらなる物流コスト上昇を見込んでいるようだ。

景気は下振れず、荷動きの回復傾向は続く

本社で会見を開いた佐藤信洋プリンシパルコンサルタントは「荷動き指数の7~9月実績は予想値よりもやや下振れとなったが、これは8月の長雨の影響で消費財の出荷が低調だったことが影響していると見られる」と説明し、「景気は下振れにはならないと予測され、年度後半に向けて全体の荷動きのゆるやかな回復傾向は続いていく。10~12月の指数は3P上昇の『5』と予測した」と述べた。

業種別の荷動き指数では、7~9月実績は全15業種中、木材・家具、鉄鋼・非鉄、電気機械、精密機器、生産財卸などの8業種が前期よりも改善、化学・プラスチック、一般機械の2業種が横ばい、食料品・飲料、繊維・衣服、窯業・土石、金属製品、消費財卸の5業種が低下した。10~12月見通しは、木材・家具、金属製品、一般機械、その他の製造業、生産財卸などの11業種が改善、電気機械1業種が横ばい、繊維・衣服、鉄鋼・非鉄、精密機械の3業種が低下と見込んだ。

利用動向はトラックが上昇、他機関は足踏み

国内輸送機関のモード別利用動向を見ると、7~9月実績では一般トラックが「6」、内航コンテナ・RORO船が「2」、宅配便が「1」と3機関でプラスとなるものの、国内航空、特積みトラック、鉄道コンテナはそれぞれマイナスとなった。10~12月見通しでは一般トラックが「8」、特積みトラックが「2」とプラスになり、内航コンテナ・RORO船が横ばい、国内航空、鉄道コンテナ、宅配便がマイナスの見通し。佐藤氏は「トラックの利用回復傾向が目立ち、他のモードはやや足踏みの様子がうかがえる」と述べた。

トラック運賃は一段と上昇へ向かう

運賃・料金の動向指数を見ると、7~9月実績は一般トラックが前期より2P上昇の「14」、特積みトラックが4P上昇の「14」、国内航空が1P上昇の「4」と3機関が上昇、鉄道コンテナが横ばいの「3」となった他、内航コンテナ・RORO船が4P低下の「4」、倉庫保管料が1P低下の「3」となった。10~12月見通しは、全モードで上昇すると見込む。佐藤氏は「絶対的なドライバー不足がある以上、トラック運賃の上昇圧力は一段と強まるだろう。他モードもトラックほどではないにせよ、上昇基調にあることは変わらない」と説明した。

10~12月の物流コストはさらに上昇へ

売上高に対する物流コスト割合の動向指数を見ると、7~9月実績は前期より2P上昇の「18」、10~12月見通しはさらに6P上昇の「24」と見込む。業種別では7~9月実績、10~12月見通しともに全15業種でプラスとなり、7~9月実績では繊維・衣服、木材・家具、鉄鋼・非鉄、一般機械などの8業種が上昇を見込まれ、10~12月見通しでは食料品・飲料、繊維・衣服、化学・プラスチック、生産財卸などの13業種で上昇を見込んだ。佐藤氏は「あらゆる業種において、荷主はトラック運賃上昇の動きを受け、物流コスト割合のさらなる上昇を予測している」と指摘した。
(2017年11月2日号)


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