【交通安全】全ト協が「トラック総合安全プラン2020」策定
全日本トラック協会(坂本克己会長)は、「トラック事業における総合安全プラン2020」(プラン20)を策定した。2020年までに死者数を200人以下とすることなど国土交通省から示された新たな目標の達成に向け、死亡事故件数にかかる新たな数値目標として「事業用トラックを第一当事者とする死亡事故件数を車両台数1万台当たり『1・5』件以下とする」ことを各都道府県(車籍別)の共有目標に掲げた。
「トラック事業における総合安全プラン2009」(プラン09)では13年時点で、人身事故件数に関しては「2万2000件以下」とする中間目標値をクリアしたものの、交通事故死者数では目標値を大きく上回っていたことから、18年までに「220人以下」とする最終目標の達成に向け14年に中間見直しを実施。具体的には、「事業用トラックを第一当事者とする死亡事故件数を車両台数1万台当たり『2・0』件以下」を各都道府県(車籍別)の共有目標として設定した。
全国平均、16年には「2・1」件に
各都道府県で「2・0」件という共有目標の達成に向けた取り組みが強化されたこと、死傷事故の過半数(高速では約7割)を占める追突事故をはじめ事故に関するデータの分析と提示、データに基づく有効な事故防止対策(現在、車両総重量8t未満車の衝突被害軽減ブレーキ装着車、車両総重量7・5t以上のトラックへの車載カメラ装着に助成)が功奏し、14年以降人身事故件数、死者数とも減少し、事業用トラック1万台あたりの死亡事故件数の全国平均も16年には「2・1」件となった。
国交省は6月30日、20年までを計画期間とする「事業用自動車総合安全プラン2020」を策定し、公表。 20年までに交通事故死者数235人以下(トラックは200人以下)、人身事故件数2万3100件以下(同1万2500件以下)、飲酒運転ゼロ(トラック、バス、タクシー共通)を目標に設定し、4つの重点施策をまとめた。これを受け全ト協では、新たな目標と具体的な取り組みをまとめた「プラン20」を策定し、9月11日に開催された交通対策委員会でその内容が承認された。
事故分析および有効な事故防止対策を継続
新たな取り組みでは、3月開始の準中型免許制度に対応した都道府県協会での初任運転者教育の充実、安全運転研修に対する助成・受講を促進。ドライバーの労働条件改善や働き方改革、安全投資の確保では「トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会」の開催、改正「標準貨物自動車運送約款」の確実な運用、「トラック運送業における適正取引推進、生産性向上及び長時間労働抑制に向けた自主行動計画の推進」を挙げた。飲酒運転撲滅にも引き続き取り組む。
衝突被害軽減ブレーキ装置を導入した都道府県トラック協会の会員(中小企業)に対する助成を実施。高度なIT点呼システムの構築と普及拡大を図る。健康起因事故の未然防止に向け「過労死等防止・健康起因事故防止セミナー」を開催。高齢歩行者特有の行動(昼間の交差点および夜間の道路横断)の啓発活動や交差点通過時の車両周辺歩行者等の安全確認を励行する。また、引き続き死亡事故件数を各都道府県(車籍別)の共有目標とした取り組みを推進し、事故分析および有効な事故防止対策の検討・活用を図る。
(2017年9月19日号)