ヒューリックが成田大型物流拠点開発、今夏着工へ
不動産大手のヒューリック(本社・東京都中央区、前田隆也社長)は18日、成田空港周辺で計画する大型物流施設開発の進捗状況を明らかにした。新施設は成田空港のC滑走路が供用開始される2029年3月の稼働開始を予定しており、今夏に造成工事に着手する。同社営業推進部の渋谷清一担当部長は、通関など上屋機能の誘致を通じて施設全体の付加価値を高める考えを示し、「まずは上屋機能の誘致に力を入れていきたい」と述べた。
開発プロジェクトを担当する長塚嘉一執行役員営業推進部長、渋谷担当部長が都内で記者説明会を開いた。
新施設は成田空港から車で15分程度の成田市上福田・下福田地区で開発。すでに約45haの用地買収を完了しており、ここに計5棟・総面積約46万㎡の物流施設を整備する。昨年末には「地域未来投資促進法」の重点促進地域に指定されており、農地転用に関する諸手続きのスピードアップ化がはかられる見通し。
サプラチェーンの国内回帰が進む中、半導体関連や自動車部品、精密機械などの輸出基地になることを目指すほか、医薬品や生鮮品の拠点、国際EC貨物のフルフィルメント拠点となることを想定。施設内に上屋機能を整備することで施設全体の利便性や付加価値を高めていく。上屋には税関や検疫などの機関も誘致することで効率的なワンストップ体制の構築を目指す。
今夏に造成工事を開始し、28年上旬には建物を竣工し、29年3月のC滑走路供用に合わせ稼働開始を目指す。渋谷氏は「今後、建物の設計に入っていくためにも、テナント企業を具体化していく必要がある。リーシングに向けた活動は今年が正念場になる」との見方を示した。
なお、開発プロジェクトの総事業費は1000億円超で、ヒューリックの開発案件では過去最大規模となる。
(2024年1月25日号)