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通販は「無料」の根拠説明すべき=消費者庁/「送料無料」意見交換

2023.11.14

消費者庁は8日、第9回「送料無料」表示の見直しに関する意見交換会を開催し、消費者関連団体の代表など4氏が意見表明を行った。4氏は「送料無料」という表示を「送料は当社負担」などの表現に見直すことに理解を示すとともに、通販事業者などに対して、配送コストを無料と表示する根拠について説明する必要があるとした。また、消費者の理解や行動変容を定着させるため、省庁や事業者など関係者が一体となったキャンペーンを実施していくことを提案した。

この日の意見交換会には、消費生活アドバイザーの大石美奈子氏、主婦連合会の河村真紀子氏、日本消費者協会の河野康子氏、全国消費生活相談員協会の増田悦子氏が出席し、消費者の立場から意見を表明した。

大石氏は、「前提として、消費者にとって送料無料は魅力的であり、ありがたいもの」とした上で、「送料無料」という表示によって配送事業者の存在や輸送に使われているエネルギーなどに思いが至らなくなる懸念があると指摘。エシカル(倫理的)消費の観点から、「送料は当社負担」など輸送過程で発生する負荷について消費者が理解できる表現に改めるべきとした。また、通販事業者などの責任として「なぜ送料が無料なのかを説明することが、事業継続性のためには必要」と述べた。

河村氏は、「送料無料」の仕組みが消費者からは見えにくいとした上で、より透明な表示に見直すべきとした。また、消費者がより安い商品やサービスを選ぶことを「いけないことだと言われるべきではない」として、まずはEC事業者や大手運送会社、下請け運送会社など事業者間で労働者にしわ寄せがこない仕組みをつくるべきと指摘。「ここが根本的な問題であり、『送料無料』表示の見直しや消費者の意識改革のみでお茶を濁してはいけない」と訴えた。

河野氏はまず、EC等の宅配便の物量はトラックが運ぶ荷物全体に占める割合が低いとして、「本来、改善が必要な企業間物流の課題解決が遅れることのないようにしたい」と述べた上で、「送料無料」と表示するEC事業者などは「配送コストを無料と表示する根拠について説明責任がある」と指摘。また、「送料無料」表示がサプライチェーンで起こり得る負の影響を見えにくくしてしまう可能性に留意すべきとした。さらに、「運送や物流をはじめとする目に見えにくい労働に対する感謝を、いまの社会は忘れるべきではない」と述べ、社会インフラを底支えしている労働者にもっと目を向けるべきと述べた。

増田氏は、「消費者に誤解されない別の表現があれば、修正することも必要」とした上で、禁止する場合は他の分野などで「○○無料」としているケースが他にないか検証すべきと指摘した。また、「表示をなくしただけで再配達がなくなったり、労働環境が良くなったりすることは難しい」として、消費者への啓蒙・啓発を目的としたキャンペーン、大手通販事業者による送料の仕組みの説明、ポイント付与などで再配達を減らす仕組みづくり――などの取り組みが必要だと述べた。
(2023年11月14日号)


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