山九、お台場に環境配慮型の次世代倉庫を竣工
山九(本社・東京都中央区、中村公大社長)は12日、東京都江東区で「お台場輸出入センター(写真)」の竣工式を開催した。東京港に隣接し、高速道路や羽田空港、都心部へのアクセスも良好な立地を活かし、既存の倉庫の建て替えを行ったもの。新倉庫は6階建てで、施設面積を既存の倉庫の約4倍に拡大し、定温倉庫も設置した。省エネ・創エネに関する各種施策により、一次エネルギー消費量が実質ゼロの環境配慮型の次世代倉庫となる。
省エネ・創エネ設計、面積は約4倍に
国際物流需要の高まりや東京港に近接し、かつ最寄り駅からも徒歩7分という抜群の立地が評価されていることを受け、既存の倉庫の建て替えを実施。新倉庫は施設面積が約1万6117㎡でこれまでの約4倍に拡張した。一般貨物やイベント貨物など輸出入品のストックポイン トとしての活用が期待され、20~25℃の定温倉庫を4階に設け、化成品などの温度管理品にも対応できるようにした。
鉄骨造地上6階建て(倉庫部分は5層)で、垂直搬送機2基、荷物用エレベータ2基を装備。荷物用エレベータ(6・6t)は大型の間ロを備える。1階は高床・ピロティ式とし、ドックレベラーは7基装備。うち4基にはフォークリフト転落防止用のリップを採用した。また、トラック用の低床バースも確保し、屋上にも35台分の駐車場やEV充電設備を設け、屋上に上がるための車両および荷物用のエレべータも設置した。
新倉庫の大きな特徴が省エネ・創エネ設計。屋上には太陽光発電設備(150kw)を実装し、人感センサー付照明や高効率空調といった高効率な設備機器を採用。併せて金属断熱パネルの増厚などにより外皮断熱性能の向上を実施した。一連の施策により、年間のエネルギー消費削減率は102%となり、建築物省エネルギー性能表示制度「BELS」の最高ランクとなる5つ星と「ZEB認証」を山九として初めて取得した。
顧客の物流課題を解決し、環境対策に貢献
竣工式で中村社長は、「当社がこの地で倉庫運営を始めてから44年が経過した。かつては日本からの大型プラントの輸出拠点として活躍した倉庫だったが、時の経過とともに日本経済の構造が大きく変わった。日本からの輸出品目は激減し、少子化を見据えて大量生産・大量消費の時代からの脱却を官民共同で目指している。また、地球環境保護の観点から、環境負荷の低い事業運営も求められている」と建て替えの経緯を説明。
新倉庫について、「新しい時代の倉庫として当社のお客様はもとより、日本経済に対しても新たなサポートができる倉庫としてリニューアルした。(事務所を含めると)面積を従来の4・8倍に増やし、取り扱い能力を拡大し、定温スペースを設けることで常温品と温度管理品を同一施設で取り扱うことができるなど様々なニーズに対応できる倉庫として生まれ変わった」と強調した。
省エネ・創エネ設計の取り組みについて、「環境負荷の低い倉庫として、エネルギー消費量がネットゼロになる建物であることを示すZEB認証を取得している。これは当社のサステナビリティ基本方針に基づく取り組みの一環でもある。この新倉庫を活用し、お客様の物流課題の解決や環境対策への貢献を通じ、お客様ならびに社会の新しいニーズに応えられるサービスを提供していく」と述べた。
(2023年4月18日号)