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濃飛西濃運輸、路線便ホームでの便別物量表示を開始

2023.03.30

濃飛西濃運輸(本社・岐阜県関市、小森紳司社長)は先月から、路線便のプラットホームなどに設置するデジタルサイネージへの集荷・他店回送貨物の運行路線便別物量表示を開始した。貨物の到着前に、その日の集荷・回送物量を路線便別に棒グラフで示すもの。送り状のEDⅠ情報がベースとなることから、発荷主の出荷登録時に即時、情報が反映されることが特長。路線車のドライバーは貨物量に応じた最適な積込ができるようになり、残貨削減による顧客サービス向上や業務効率の改善につながる。

デジタルサイネージへ集荷・回送情報を投影

デジタルサイネージにはテレビディスプレイを用い、2021年3月に関支店へ3台、富山支店へ4台、本社エントランスへ1台を導入。プラットホームでは見やすい壁などに設置し、交通情報や天気予報、作業上の注意喚起を促す通知を表示するとともに、従来は事務所のホワイトボードのみに掲示していた大口貨物の集荷状況も投影することでドライバーが容易に確認できるようにした。このほか、ロジスティクスの現場に設置したディスプレイにはリアルタイムの作業進捗を映し、作業者間で状況を共有化するといった活用も進めてきた。

その上で先月末、新たに上越支店へ5台、福井支店へ4台のデジタルサイネージを採用し、いずれも1階の路線便プラットホームと2階のロジスティクス現場へ取り付けた。これに合わせて、すべてのデジタルサイネージへの集荷・回送貨物の便別物量表示を開始。既存の社内システムから便別の物量を抽出し、「前日残貨分」と「他店からの回送分」と併せて棒グラフに表し、全従業員で情報の共有を図る。

とくに、集荷貨物の物量はこれまで、集荷ドライバーがホームに荷降ろしした時点で初めて物量確認できる状況にあり、路線便のドライバーは貨物量を把握するために、長年の経験と勘から物量を推測しつつ積込作業を始める必要があった。そのため、当初の見立てと異なる貨物量となり、結果的に残貨が生じてしまうケースなども発生していた。便別物量表示を導入したことで、路線便ドライバーが積込を開始する夕方17時には各便の貨物量が概ね把握できるようになり、積込貨物の柔軟な調整が実現。残貨削減による顧客サービス品質の向上につながった。また、効果的な積込準備が可能になったことでドライバーの作業負担も軽減。複数の運行車両が出発していく中で、車両間の調整もしやすくなり、ドライバー同士の会話やコミュニケーションも活発化したという。

EDI化率94・08%、データを有効に活用

路線便別物量表示を可能にしたのが、濃飛西濃運輸の高いEDI化率だ。とくにこの5年ほどは取り組みを加速させたことで、セイノーグループでも西濃運輸に次ぐ「94・08%」という数字を達成している。月間50万枚に上る原票データを保有する一方で、従来は荷主企業からの追跡依頼対応などにしか使用できていなかった。こうした“ビッグデータ”の有効活用に向けて、今回、グループ会社のセイノー情報サービスの協力を得て、路線便別物量表示を具体化。なお、同システムの構築と各支店へのデジタルサイネージ導入は、岐阜県IoTコンソーシアム事業としても認定されている。
今後はGPSの位置情報とリンクした集荷便の到着予定時刻表示など、さらなる機能拡充も視野に入れながら研究を進める。ホーム作業の効率化には、イレギュラーが発生しやすい路線便の到着予定時間表示なども効果が大きく、同じくGPSを活用した運行車の位置表示を含めて実用化を検証していきたい考え。現在デジタルサイネージを導入していない支店への展開も検討する一方で、セイノーグループの他の路線会社からの関心も高いという。EDIデータの多様な活用にも注目し、運行便の配車調整や、営業活動への応用なども進めていく。

後藤隆常務は「グループ内にセイノー情報サービスがいることはEDI化への取り組みも含めて大きな強みとなっている」と説明。小森社長も「お客様向けのデジタル化は進んできたが、現場のデジタル化はまだまだ遅れていた。こうした取り組みを機に、今後変わっていければ」と展望する。
(2023年3月30日号)


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