【貿易・税関】AEO通関業者の年間認定数、過去最高へ
認定通関業者(AEO通関業者)の認定取得の取り組みが加速している。10月からの申告官署の自由化を控え、今年1~6月21日までに既に26者が認定を受けており、1年間の認定件数が過去最高だった昨年の27者を超えるのは確実だ。今年の傾向をみると約半数が5大港以外を所在地とする事業者となっており、地方の中小通関業者にもAEO(認定事業者)制度が浸透してきたことがうかがえる。
申告官署の自由化では、AEO通関業者は貨物の蔵置場所にかかわらず1ヵ所の税関官署に申告することが可能となり、通関営業所の集約などで人的配置を効率化できるほか、委託先通関業者や申告先税関を絞りたいという輸出入者のニーズに対し柔軟に対応可能という点で差別化にもなる。
AEO通関業者制度は2008年4月から実施。当初はAEO通関業者に対する特例措置(特定委託輸出申告制度、特例委託輸入申告制度)を利用できるメリット以上に、AEO取得に必要な組織・体制の整備にかかる負担が大きいと感じる企業が多く、人的資源が限られる中小だけでなく、組織が大きすぎる大手も取得は様子見だった。
12年以降は大手物流会社の取得が進み、14年に申告官署の自由化の議論が本格的に開始されると取得を目指す企業が急増。09年以降、特定輸出者(AEO輸出者)、特例輸入者(AEO輸入者)がほぼ横ばい、特定保税承認者(AEO倉庫)が緩やかな右肩上がりであるのに対し、AEO通関業者に関してはこの5年間で約2倍に増えている。
16年6月には、中小企業も取得しやすいようにAEO承認要件等の審査要領が改正され、「総括管理部門」と「監査部門」の責任者の兼務や、監査、従業員の教育・研修の第3者への依頼が可能になった。16年末に全国で140者だったAEO通関業者は17年6月21日時点で164者で、1月以降認定された26者は大手のみならず地方での事業者も目立つ。
(2017年8月10日号)