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【宅配便運賃】佐川急便が「飛脚宅配便」基本運賃値上げへ

2017.08.01

佐川急便(本社・京都市南区、荒木秀夫社長)は、「飛脚宅配便」の基本運賃を11月21日から値上げすると発表した。100サイズ以上の荷物が対象で、全地帯一律で100サイズは60円、140サイズは230円、160サイズは180円の値上げとなる。また、170サイズ以上を対象とした「飛脚ラージサイズ宅配便」についても、平均17・8%の値上げを実施する。同社が基本運賃を値上げするのは、2004年に飛脚宅配便の現行運賃を届け出て以降、初めてとなる。

従業員の労働環境改善や配送インフラの強化、受取方法の多様化などが求められるなか、値上げで得られた増収分を従業員の確保をはじめとする宅配便サービスの維持・向上に振り向ける。

宅配便業界では、すでにヤマト運輸が10月1日から宅急便基本運賃を平均15%値上げすることをすでに公表している。また、日本郵便は15年8月に「ゆうパック」の基本運賃を値上げしている。

100サイズ以上を対象に値上げへ

飛脚宅配便の値上げでは、例えば100サイズの荷物を東京(関東)から大阪(関西)に送る場合、現行の1300円から1360円に値上げとなる。また、飛脚ラージサイズ宅配便の改定率は最小1・1%、最大33・3%で平均値上げ率は17・8%。例えば、東京から大阪に170サイズの荷物を送る場合、現行運賃の2300円が2850円になる。
また、今回の値上げに合わせ、飛脚宅配便と同運賃を適用している「飛脚特定信書便」の運賃も改定するほか、不整形荷物が多いスキー用具の適用サイズの上限を140サイズから160サイズに引き上げる。飛脚国際宅配便の受託時の容積重量算出基準も6000㎝/㎏から5000㎝/㎏に変更する。

家具・家電の設置料金やクール料金も値上げ

大型家具家電設置輸送の設置料金も改定する。1個口出荷で170サイズの場合、現行の3500円から4200円に引き上げる(複数個口は1個増ごとに1500円増し)。代引サービス「e‐コレクト」の代引手数料についても改定したほか、取込詐欺などのリスクもあることから500万円の上限金額を設定した。飛脚クール便の付加料金も改定。例えば、東京から大阪へ60サイズの保冷荷物を送る場合、現行の150円のクール料金を250円に引き上げた。クール料金の値上げ幅は100~350円。

なぜ、100サイズ以上だけが値上げなのか…

佐川急便の今回の基本運賃改定では、60~80サイズの運賃は据え置き、100サイズ以上だけが値上げとなる。その背景には、同業他社や特積みトラック各社から100サイズ以上の荷物が同社に流れているという事情があるという。これまでの同社の基本運賃は、100サイズ以上の運賃は相対的に安価に設定していたが、荷物が増加したことで「基本運賃の考え方を見直した」(関係者)と言える。

また、佐川の場合、基本運賃をそのまま適用している個人客の割合は全体の1%程度と、ヤマト運輸の10%程度と比較しても少ない。同社はこれまでも個別契約している大口顧客との運賃適正化に向けた交渉を重ねてきており、一定の成果を得てきた。今後は基本運賃の改定をテコにさらに交渉を本格していく。

(2017年8月1日号)


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