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濃飛西濃運輸、デバンニング省人化機器を導入

2022.04.21

濃飛西濃運輸(本社・岐阜県関市、小森紳司社長)は、量販店向けのロジスティクス事業を展開する「富加物流センター」(岐阜県関市)で、来年を目途に、デバンニング作業を完全無人化する計画にある。これに先駆け、まずは先月から同作業に省人化機器を導入し、作業者の負担軽減と生産性向上を実現。その上で、今後は、無人化機器の稼働と周辺作業の自動化に向けた検討を進める考え。同社は来年4月に関東西濃運輸、東海西濃運輸とともに西濃運輸と統合する予定にあり、こうしたノウハウは新生・西濃運輸にも継承され、セイノーグループが推進するロジスティクス事業の拡大においても、重要な役割を担いそうだ。

「デバンダ」の採用で作業者への負担を軽減

富加物流センターは敷地面積4万9800㎡、建物面積1万7500㎡の平屋建て倉庫で、大手ホームセンターのDC拠点として稼働する。海外産製品の輸入基地でもあり、名古屋港などで荷揚げされた製品は同センターを経由して国内約180店舗へ発送される。搬入コンテナは月間400TEUに上り、1日に海上コンテナ8~10本のデバンニング作業が必要となる。

こうしたデバンニング作業は従来、全て手作業で行われ、コンテナ1本当たり600~700個に上るカートンを、専任の作業者5人が約1・5時間かけて荷降ろししてきた。一方で、閉所空間となるコンテナ内は、夏場には庫内温度が50~60℃まで上昇するなど過酷な労働環境でもあり、作業負荷の大きさから人材の定着率が悪く、作業者の確保が課題となっていた。

そこで、業務の維持・継続と作業者の負荷軽減に向けて、先月29日から、メイキコウ製の荷降ろし装置「デバンダ」1台を導入。デバンダは、昇降式作業台(シザーリフト)と伸縮ベルトコンベアを組み合せたデバンニングの省人化機器で、コンテナ内の作業者1人がシザーリフトに乗ってカートンをコンベアに降ろし、コンテナ外に流されたカートンを3人がパレットに積みつけることで作業が完了する。

これにより、コンテナ内の作業者を1人に減らすとともに、1コンテナ当たりのデバンニング作業者も5人から4人へ削減。コンテナ内ではシザーリフトが上下に昇降することで、作業者が高所や低所の荷物を負担なく取り降ろせるようになった。また、コンテナ内への歩行も不要となるため、作業全体の生産性も向上し、導入後のコンテナ1本当たりの作業時間は0・88時間に短縮。デバンダは富加物流センターでのデバンニング全体の約3割に使用され、年間で約430万円超のコスト削減効果が見込まれるという。

なお、デバンダはリーファーコンテナや低温トラックからの荷降ろし用に開発された機器で、富加物流センターではドライコンテナ用に改造して運用。デバンダのドライコンテナ作業での本格稼働は、メイキコウとしても初めてという。

「理想は完全無人化」付随作業の自動化も検討

濃飛西濃運輸では今後、デバンニングの完全自動化にも取り組む。同社では3年ほど前より、デバンニングの省人化・自動化に向けた検討を開始し、一旦は海外製の完全無人化機器の導入を決めたものの、新型コロナの影響で仕入れが困難となり、購入を断念した経緯もある。そうした中、最近では国内でも無人化機器が登場していることから、「理想は完全無人化であり、デバンダの導入と並行して新たな取り組みを進めていきたい」と後藤隆常務は意欲を示す。

デバンニング無人化機器では、富加物流センターのデバンニング作業全体の約3割を担当する計画にあり、デバンダとの併用で、完全手荷役によるデバンニング作業を全体の4割まで削減したい考え。さらに、こうした機器でデバンニングされた貨物の検品やパレタイズ、入庫作業についても自動化を検討。コンベア上での伝票の自動読み取りやアームロボットによるパレット積み、自動搬送機(AGV)による指定場所への格納などを含めたシステム開発も視野に入れる。併せて、輸入コンテナの搬入が多い他の営業所への水平展開も見込む。

濃飛西濃運輸はセイノーグループでとくにロジスティクス事業に強みを持ち、倉庫作業の省人化・自動化についてはデバンニング機器のほか、AGVも既に2営業所(富加物流センター・上越支店)で実稼働するなど、積極的な活用を進めてきた。一連のノウハウはセイノーグループが展開を加速するロジスティクス事業の各現場への応用も想定されるという。
(2022年4月21日号)


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