経産省/国交省、フィジカルインターネット計画を策定
経済産業省と国土交通省は4日、第6回フィジカルインターネット実現会議を開催し、2040年までのフィジカルインターネットの実現に向けたロードマップを策定した。当面は30年までに業種・業界別サプライチェーンで物流のデジタル化・効率化(業界ごとのフィジカルインターネット)を促進する。その後、各業界での取り組みの進捗を踏まえ、業界の垣根を超えたサプライチェーンの効率化を担う産業界全体のフィジカルインターネットを40年に実現する。
現在、業界加工食品・日雑品で先駆的に取り組みが始まっており、百貨店、住宅設備・建材などが後に続く。経産省はそれ以外の業種・業界に対しても業界別フィジカルインターネット実現に取り組むよう働きかけていく。
ロードマップは現在の物流環境について、物流需要が供給を上回る物流コストインフレの状況にあるとの認識を提示。現状のまま対策を講じない限り〝頼んでも運んでもらえない〟という〝物流クライシス〟が起きる可能性を指摘する。また、試算によるとトラックの供給力不足がもたらすGDPへの影響は、関連業種を含めると30年で7・5~10・2兆円、40年で11・9~17・6兆円の押し下げが見込まれるとした。
その上で、トラック運賃を適正水準に引き上げつつ、商慣行の是正やパレチゼーションの徹底により生産性を高めることが可能な物流システムが必要だと提言。現在最も注目されるフィジカルインターネットにより課題の克服を図るとした。物流コスト比率を抑制したいという荷主のニーズと運賃を適正な水準にまで引き上げたいというトラック運送事業者のニーズを両立することも可能になるとする。
物流リソースの共同利用で生産性向上
フィジカルインターネットの特長は物流の共同化を迅速・低コストで実現可能とすること。不特定多数の荷主がトラック・鉄道・船舶・倉庫など様々な物流リソースを共同利用できるようになり、合理的なコストで物流サービスを受けることができる。
一方、物流事業者にもメリットがある。トラックの場合、最適なルートで共同配送を行えるようになる。幹線輸送では複数のトラックを共有のハブで接続。貨物はハブ間の幹線輸送と、ハブとラストワンマイルを結ぶ端末輸送網を組み合わせる形態となる。トラックやハブのキャパシティなどの供給情報、貨物量や行き先など需要情報を物流・商流プラットフォーム上で把握し、車両を必要に応じて適切なルートに配車・マッチングすることが可能となり、高い積載効率を実現する。物流倉庫の生産性向上にも寄与する。事業者間で互いにスペースを有効活用し、繁閑差や地域差から生じるムダを省き、平準化につなげる。
(2022年3月10日号)