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荷動きの改善傾向は顕著に=NX総研・短観

2022.02.03

NX総合研究所(本社・東京都千代田区、廣島秀敏社長)は1月28日、12月に実施した「企業物流短期動向調査」(日通総研短観)の結果概要を公表した。それによると国内向け出荷量の動向を示す荷動き指数は2021年7~9月実績はプラス6、続く10~12月実績は6pt上昇のプラス12となった。新型コロナウイルス感染症対策による緊急事態宣言の影響により7~9月は前期(4~6月)よりも低下したものの10月以降は上り調子を取り戻し、多くの荷主が荷動きの回復基調が続くとみているようだ。

オンライン説明会に出席した佐藤信洋プリンシパルコンサルタントは「足元の景気はゆるやかな回復傾向にある。20年5月が景気の底で6月から回復局面に転じた」と述べ、20年春ごろから始まった半導体不足などに起因する生産停滞などマイナス要素により若干の落ち込みはあったものの、緊急事態宣言が解除された10月以降、荷動きは上昇基調を戻していることを指摘した。一方で今回の調査実施時期は12月で新型コロナウイルス(オミクロン株)の感染第6波による蔓延防止措置が施行される前だったことから「今後の荷動き指数は下振れする可能性がある」とした。

全15業種の業種別荷動き指数をみると、10~12月実績は木材・家具、一般機械、窯業・土石、鉄鋼・非鉄、パルプ・紙、その他の製造業など9業種でプラスとなり、生産財卸、繊維・衣服、精密機械、金属製品、輸送用機械、食料品・飲料など6業種でマイナスとなった。

続く1~3月見通しはその他の製造業、木材・家具、窯業・土石、鉄鋼・非鉄、輸送用機械、一般機械、パルプ・紙などがプラスとなり、消費財卸、生産財卸、繊維・衣服、精密機械、金属製品など5業種がマイナスと予測。このうち自動車など輸送用機械が10~12月実績のマイナスから1~3月見通しではプラスに転じることが全体の押し上げ要因となったようだ。

運賃・料金の上昇基調は今後も続く

輸送機関の利用動向をみると、荷動きの回復基調を受け、10~12月実績は6機関(一般トラック、特積みトラック、宅配便、鉄道コンテナ、内航コンテナ・RORO船、国内航空)すべてが前期実績に対して上昇し、1~3月見通しも国内航空を除いた5機関で上昇するなど利用が活発化すると期待される。

それに伴い、運賃・料金は総じて上昇基調となると見込む。一般トラック、特積みトラック、鉄道コンテナ、内航コンテナ・RORO船、国内航空、倉庫保管料の6モードについて運賃・料金の動向指数をみると、10~12月実績と1~3月見通しのいずれも6モードすべてがプラスとなり、前期実績からの推移も全モードが上昇となった。とくに一般トラック、特積みトラックは高水準を保ちながら上昇が続くと予想。鉄道コンテナと内航コンテナ・RORO船もそれぞれゆるやかながら上昇の見通し。

運賃・料金の上昇基調を受け、物流コストの上昇も予想される。業種別物流コスト割合の動向指数は、10~12月実績と1~3月見通しのいずれも全15業種でプラス。前期実績からの推移は10~12月実績は12業種が上昇、1~3月見通しは9業種が上昇するなど全体の上昇機運が続く予想。

佐藤氏は直近の燃油費上昇について言及し、「中小のトラック事業者はコストの急上昇を運賃に転嫁することが十分にできていない」と指摘。安定的輸送を維持するためにも燃料サーチャージなど荷主の対応が望まれるとした。
(2022年2月3日号)


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