日陸、危険物倉庫シェアリングサービスを開始
日陸(本社・東京都千代田区、戸木眞吾社長)は危険物倉庫のシェアリングサービスに乗り出す。危険物倉庫の空き情報と荷主のニーズをマッチングさせる「AnyWareHouse」の本格運用を1月から開始。荷主の保管ニーズに迅速かつ的確に対応するとともに、危険物倉庫のアセットの有効活用を支援する。
保管開始までのリードタイムを短縮
従来から、自社施設で対応できない貨物は協力会社に再寄託していたが、協力会社の空きスペース情報を完全には把握しておらず、また、問い合わせは電話やファクス、メールで行っていた。また、メーカーや商社など荷主が危険物倉庫を探す際には、ホームページで検索するなどして個別に電話などで照会していた。
インターネット上で倉庫と寄託者をマッチングさせる既存のサービスはあるが、普通品倉庫や賃貸用サービスを対象としている。危険物倉庫の場合、消防法をはじめとした各種規制に適合した倉庫に保管しなければならないため、危険物に関する専門知識を持った担当者がマッチングさせる必要がある。
そこで、危険物物流最大手の日陸では、協力会社の危険物倉庫の空き情報と、荷主が預けたい貨物をマッチングさせるシェアリングサービスを開発。協力会社は空き情報と各種条件(対応可能な貨物や流通加工など付帯サービス)を登録し、荷主は貨物の種類や希望する付帯サービスなどを登録する。いずれも登録料は無料となっている。
これまでの再寄託のスキームは変えず、日陸が元請けとなり、荷主の貨物やニーズを精査したうえで、最適な協力会社の危険物倉庫に再寄託する。登録されている情報をもとにマッチした倉庫を探し、荷主の保管開始までのリードタイムを短くできるほか、協力会社は空いたスペースを早期に埋められるメリットがある。
事前の登録で条件のミスマッチを防止
危険物の保管は、貨物の消防法の類等のほか大きさや形状、さらにはオーダーの締め時間など様々な条件の確認が欠かせない。「AnyWareHouse」を活用することで、事前に荷主から「パレット貨物かばら貨物か」「付帯作業があるかどうか」などを確認できるため、条件のミスマッチを防ぐこともできる。
危険物倉庫は近年、旺盛な需要により全国的にタイトな状況。コロナ禍で一時的に荷動きが低迷し、また、新増設が続いたため、空きスペースが見られるようになったが、足元では再び稼働率が上昇している。危険物の保管需要の拡大も見込まれ、危険物倉庫に関する問い合わせが増えることが予想されている。
日陸では昨年4月に物流DX推進のプロジェクトが発足。危険物物流業シェアリングサービスの構築を進めている。その一環として、「危険物物流業界の効率化に貢献したい」とのコンセプトのもと、倉庫アセットの有効活用に着目した「AnyWareHouse」を開発。現在、既存の協力会社20社が登録しており、30社程度まで増やしたい考えだ。
なお、「AnyWareHouse」のURLは、https://pf.nrsgroup.co.jp/lead/shipper.html
(2021年12月23日号)