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政府、トラック飲酒運転根絶へ緊急対策

2021.08.10

政府は4日、交通安全対策に関する関係閣僚会議を開催し、通学路での交通安全の確保と飲酒運転の根絶に向けた緊急対策を決定した。6月28日に千葉県八街市で飲酒運転による自家用大型トラックにより小学生5人が死傷する重大事故が発生したことを受けたもの。菅義偉首相(写真)は「通学路の安全点検や飲酒運転の根絶に向け、取り組みを強化する」と表明。警察庁と国土交通省、厚生労働省を中心に関係省庁が連携し、児童の交通安全施策と飲酒運転の防止対策を強力に推進する。

警察HPで安全運転管理者の選任状況を見える化

従来の飲酒運転への取り締まりに加え、安全運転管理者を選任していない事業者を一掃する方針。道路交通法では自家用トラック(〝白ナンバー〟車両)を一定数以上保有している企業は安全運転管理者を選任することが義務付けられているが、安全運転管理者の不在によりドライバーの管理が不十分で、飲酒運転が起きてしまうケースがみられる。そこで安全運転管理者を選任していない企業を一掃することを決めた。その手段として自動車保管場所証明業務との連携により安全運転管理者未選任の企業を把握し、都道府県警察のWebサイト上で選任状況を公開することで選任の促進を図る。

また、乗車前後にアルコール検知器を活用した酒気帯びの有無の確認を行うよう促進する。さらに、ドライブレコーダーを活用したドライバーへの交通安全教育の充実や安全運転管理者による指導の徹底を図る。
広報・啓発にも注力する。企業向けに飲酒運転の危険性や交通事故の実態について積極的に広報するとともに、映像機器などを利用した体験型の交通安全教育を推進する。春・秋の全国交通安全運動では飲酒運転根絶を重点項目として取り組みを強化する。

対策マニュアルに「アルコール依存症」を記載

営業用トラックへの対策では乗務前後に点呼を着実に実施することでドライバーへの指導・監督を強化する。全日本トラック協会が策定した飲酒運転防止対策マニュアルにアルコール依存症関係の記載を追加し、依存症の可能性を判別しやすくするためチェックリストを設ける。

アルコール依存症ではないものの酒気帯び傾向の強い運転者への対策も実施する。呼気センサーとイグニッションキーを連動させ、酒気帯び状態では運転を行えなくするアルコールインターロック装置について事業者に情報提供を行い、普及促進を図る。同装置の義務化には踏み込まず、ドライバーのなりすましによって運転禁止の無効化を図るケースが絶無とはいえないことから普及促進にとどめる。
さらに、飲酒運転対策の優良事例について調査し、他の運送事業者でも実施できるよう業界内で情報共有する。

そのほか、9月末までに通学路の安全確認を行う。安全確保対策では、狭く見通しが悪いなど危険な道路について必要な対策を実施し、道路環境の整備や交通安全教育の充実に取り組む。幅員の狭い道路でも利用できる可搬式速度違反自動取締装置を増やし、速度規制を強化する。

それぞれの取り組みは、内閣府政策統括官を議長とし、関係省庁の局長級をメンバーとした対策推進のワーキングチームを定期的に開催し、進捗状況と取り組みの成果を検証していくこととした。
(2021年8月10日号)


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