【ズームアップ】「薬」の配送、担い手が多様化
新型コロナウイルス感染症拡大で外出自粛が求められる中、処方薬の配送ニーズが高まっている。大手物流会社のほかバイク便も参入し、小型低速配送ロボットによる実証実験も行われた。一般用医薬品はウーバーイーツによる配達も始まっており、薬のラストワンマイル市場は担い手の多様化とともに、群雄割拠の様相を帯びてきた。
最短2時間で配送、残薬回収サービスも
セイノーホールディングスは昨年12月、傘下のラストワンマイル関連グループ会社を通じて、処方薬の即時配送サービスを開始すると発表した。北海道エリアでミライシアホールディングと行った実証実験で、患者・薬局双方から高い評価が得られたことから、「ARUU(アルー)」としてサービス化するもの。薬剤師による服薬指導後、最短2時間で処方薬を届けることができる。
日本郵便は3月16日から5月17日まで、アインホールディングスとともに、アイングループの東京都葛飾区内の調剤薬局において、「ゆうぱっく」により処方箋医薬品を当日配送する実証実験を行っている。また、4月1日から9月30日まで、スギ薬局と服薬指導済みの薬剤配送および残薬回収サービスを試行。配送のみならず、患者の残薬管理支援、未使用廃棄削減にも対応した新しい試みを始める。
「空き時間」で配送、ロボ活用で非対面実現
オンライン診療、服薬指導・処方薬配送サービス「SOKUYAKU(ソクヤク)」を展開するジェイフロンティアでは、バイク便のセルートと連携し、ギグワーカーも含めた多様な人たちが「移動時間」や「空き時間」を使って荷物を運ぶアプリ「DIAq(ダイヤク)」を活用した、東京23区内・横浜市内での処方薬当日配送サービスを開始。今後も、全国主要都市圏を中心に当日配送可能エリアの拡大を目指す。
また、パナソニックは、アインホールディングスとともに、神奈川県藤沢市のFujisawaサスティナブル・スマートタウンで3月5日から26日まで、小型低速ロボットを用いて、処方箋医薬をアイン薬局 FujisawaSST店から住宅に配送する実証実験を実施。屋外での小型低速ロボットによる医薬品の配送は国内で初めてで、診察、服薬指導、医薬品の受け取りまでを非対面で完結することが可能となった。
ローソンのOTC薬品はウーバーイーツで
ローソンは2月4日から、東京都内の3店舗で、日本で初めてとなるUber Eats(ウーバーイーツ)による一般用(OTC)医薬品の配達を開始した。取り扱い商品は、風邪薬や目薬、胃腸薬など第2類医薬品と第3類医薬品の49種類。専用アプリから注文が可能で、店舗では商品を医薬品専用の袋に入れ、登録販売者が確認のうえ配達員に引き渡す。ローソンでは医薬品の取り扱い店舗を拡大しており、今後も順次導入店舗を拡大していく。
(2021年4月20日号)