国交省、港湾データ連携基盤を4月稼働
国土交通省は4月1日から、「港湾関連データ連携基盤(港湾物流)」を本格稼働する。現状は紙・電話で行われている民間事業者間の港湾物流の手続きを電子化するもので、データの連携により情報の再入力・照合作業を削減するとともに、トレーサビリティ確保による状況確認の円滑化が図れる。長期的には、データ分析に基づく戦略的な港湾政策立案、蓄積された情報とAI等を活用した民間事業者による新たなサービスの創出、港湾物流、港湾管理、港湾インフラの有機的連携によるシナジー効果も期待できる。
港湾物流関係者が共通して利用可能
民間事業者による港湾物流の手続きは紙や電話によるものが主流となっており、事後にデータの再入力・照合作業が生じるなど効率的ではないケースがみられる。このため国交省では、荷主、船会社、海貨業者、陸運業者、ターミナルオペレーター、倉庫業者、通関業者、税関など港湾物流関係者が共通して利用できる「港湾関連データ連携基盤(港湾物流)」の構築を進めてきた。
昨年度より稼働に向けたテストを繰り返してきたが、運用の安定性が確保できたことから、4月1日から本格稼働を開始する。国交省では同データ連携基盤に多くの関係する事業者が参加できるよう、同基盤システムの提供を無償で行う。数年程度の無償運用期間を設けた後、一定程度の参加事業者を確保した段階で、有償提供に切り替える方針。
自社システムと連携し、業務効率化が可能に
参加する民間事業者は、同基盤システムへのデータ入出力を行う権限を有し、現在は紙の書類により実施している業務をシステム上で行えるようになる。書類ごとにデータセットを作成し、データセット間で共通する項目について重複入力がなくなり、業務の効率化が可能。
自社システムを利用している事業者や他のプラットフォームならびに既存サービスとの間では、情報連携APIの仕組みを介して同基盤システムを同時に利用できる。自社システムを利用していない事業者は、データ連携基盤が用意する直接入力画面(GUI)からデータ入出力を行える。なお、データ連携基盤に蓄積される各種データのうち秘匿情報については匿名化し、統計情報として提供する機能を構築する。
また、同基盤システムは、コンテナ輸送の効率化と生産性向上を図ることを目的としたシステムである「CONPAS」とも連携可能となっており、4月の稼働と同時に、横浜港南本牧ターミナルにおいて、「CONPAS」の搬入情報の事前照合機能と同基盤システムを連携させることで円滑なコンテナ物流を促進する。
(2021年3月11日号)