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標準運賃、届け出促進を呼びかけ=全ト協理事会

2020.12.08

全日本トラック協会(坂本克己会長)は3日、東京都内で理事会を開き、来年度の事業計画の骨子案などを議論するとともに、標準的な運賃の周知等の取り組みを報告した。

議事に先立ち、国土交通省の祓川直也自動車局長があいさつし、標準的な運賃について、「第1ステップとして標準的な運賃がどういうものか理解し、第2ステップで自社の運賃原価分析、経営分析に活用していただく。第3ステップで新しい運賃を計算して、荷主と交渉し、第4ステップで届け出してもらう。第4ステップまできているのは、事業者ベースで10月の段階で1%弱くらい。荷主も本業が痛んでいるが、第4ステップまで進めてもらいたい」と述べた。

続いて坂本会長(大阪運輸倉庫)が、「議員立法で貨物自動車運送事業法が成立し、“仏”ができた。国交省がそれに“魂”を入れて政省令を整備した。それをご利益があるようにするのは我々事業者だ。標準的な運賃に基づく新たな運賃の届け出を進めていく必要がある」と強調。全ト協として関係省庁と連名で、荷主4万5000社に対して標準的な運賃の周知に取り組み、一般紙にも周知の広告を掲載することを報告した。

標準的な運賃の告示とともに改正貨物自動車運送事業法の柱である、荷主対策の深度化、規制の適正化にも触れ、「悪貨が良貨を駆逐する、すなわち悪質な事業者のために、まじめな事業者の利益が損なわれることがあっては、地域や国民さらにはドライバーのためにならない。悪質な事業者は市場から去るべきだという声を全国から聞いている。また、新規の参入は適正な競争を行える事業者のみとすべき」と地方運輸局の対応強化の必要性を訴えた。

重要課題に位置付ける道路問題に関しては、「近年、自然災害が頻発している中で、最後はトラックが頼りで、トラックがいなければどうにもならないことが如実になっている。災害時に緊急物資を届けたり、人の命を守るのもトラックだ。それには道路が大事であり、事業者が縦横無尽に活用できるような道路整備が必要。利用しやすい道路をリーズナブルな料金で使えるようにしてほしい」とし、ミッシングリンク解消も提言した。

議事に続き、国交省自動車局の伊地知英己貨物課長が改正貨物自動車運送事業法の進捗を報告。馬渡雅敏副会長(松浦通運)が標準的な運賃の告示が24年3月末までの時限措置であることに言及し、「時限措置終了まで『時間がない』ということを頭に刻んでほしい。改正標準貨物自動車運送約款に基づく新約款は9割近くが提出している。約款を変更した事業者は必ず標準的な運賃に基づく新運賃も届け出てほしい」と強調した。
また、7月に発足した道路委員会について、テーマごとの分科会を設立して活動していることなどが報告された。


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