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3割の荷主が「物流条件」を変更=JILS調査

2020.07.07

日本ロジスティクスシステム協会(JILS、遠藤信博会長)は6月30日、新型コロナウイルス感染拡大による物流への影響について、荷主と物流企業を対象に6月に実施した調査結果を発表した。今回の調査の結果、3月に実施した前回調査時よりも物流とサプライチェーンの混乱が拡大していることが判明。また、荷主企業の3割が取引先との調整を行うことで物流条件の変更に取り組み、そのうちの8割以上で物流条件の変更による効果があったとしている。

海外からの原材料や部品、商品の調達・仕入で遅れが発生している荷主は3月の36・25%から今回は半数を超える50・85%を占めた。国内からの調達・仕入の遅れを指摘する荷主も前回の25・0%から45・76%と大幅に増加し、サプライチェーンの混乱が引き続き継続し、さらに拡大していることがうかがえる。

荷主企業の75%(前回52・63%)、物流企業の78・58%(前回64・78%)が業績にマイナスの影響があると予測。前回調査よりも業績悪化がさらに懸念される傾向がみられた。荷主では「大きなマイナスの影響がある」が46・15%、「ややマイナスの影響がある」が28・85%。物流企業では「大きなマイナスの影響」が44・29%、「ややマイナスの影響」が24・29%だった。

荷主の8割が物流条件の変更で「効果あり」

コロナ禍による経営環境の変化に対する対応では、荷主企業の3割が取引先との調整による物流条件の変更に取り組んでいた。そのうち7割の企業で「物流・ロジスティクス部門」がこの取り組みを主導し、「自社の営業部門」は約17%、「自社の経営部門」は約6%だった。

取り組みの結果、「大きな効果があった」(18・75%)、「効果があった」(62・5%)を合わせ8割以上の企業で物流条件の変更の効果があったとしており、コロナ禍をきっかけに一定の効率化が進んだ企業もあったことがわかる。

荷量減少で「トラックが確保しやすく」が4割弱

取り扱う物量が減少していると回答した荷主・物流企業は前回56・66%から今回78・38%に増加した。新規顧客獲得に向けた営業活動が制限される中、トラックの減便や庫内人員体制を見直すことで対応しているとの回答もあった。

感染拡大による緊急事態宣言(4月7日)以降の影響について、「トラック輸送では4割近い企業が「トラックが確保しやすくなっている」(38・46%)と回答。一方で「特に影響はない」が36・15%あった。作業人員については「余剰が生じている」(30・0%)、「概ね人件費単価が上昇している」(10・0%)との回答が目立ち、一方で「特に影響はない」が半数近い49・23%あった。

国際貨物では航空輸送・海上輸送の全体で「コストが大幅に上昇している」「輸送に遅れが生じている」など課題が発生していた。航空貨物では全ての地域で過半数の回答者が「コストが大幅に上昇」と回答しており、北米向けと東アジア向けでは8割、東南アジア向けは7割、欧州向けは7割強にのぼっていた。

「新しい生活様式」への対応で商習慣に変化が?

企業の7割(荷主69・23%、物流企業72・86%)が新型コロナウイルスの感染拡大や「新しい生活様式」への対応がサプライチェーンや商習慣に変化をもたらすことを見込んでいる。今後は検品・伝票レス化や納品時間指定の緩和など商習慣の見直しや、荷降ろしや納品時の小分け作業、別パレットへの積み替えなどドライバーの付帯作業で有償による業務化などが進むとの見方があった。
また、荷主と物流企業のいずれも4割がコロナ感染拡大や「新しい生活様式」に対応することによりサプライチェーンでの「自動化・ロボット化が加速する」と回答。一方で荷主・物流企業とも「そうは思わない」の回答も3割ほどあった。
(2020年7月7日号)


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