【物流会社】日立物流/17年3月期は為替影響で減収も、営業利益4%増
日立物流(本社・東京都江東区、中谷康夫社長)の2017年3月期連結業績は、売上高が前期比2・2%減の6653億7700万円、調整後営業利益が4・0%増の294億6600万円、EBITが13・6%増の315億5500万円、親会社株主に帰属する当期利益が33・5%増の187億300万円となり、減収増益となった。売上げでは新規受注案件やSGホールディングスグループとの協業などが寄与したものの、為替影響237億円が減収要因となった。利益面では3PL事業の収益性改善などが増益に寄与した。
セグメント別の業績では、3PLを中心とした国内物流の売上高が4117億9600万円(1・7%増)。調整後営業利益が218億3000万円(7・4%増)となり増収増益。国際物流は売上高2317億2700万円(8・5%減)、調整後営業利益56億9300万円(0・7%増)の減収増益。その他(物流周辺事業等)は売上高218億5400万円(1・2%減)、調整後営業利益19億4300万円(16・8%減)の減収減益。
4月27日に本社で会見した中谷社長は国内3PLについて「オペレーションの基盤を地域会社に移しているが、地域密着営業による“小さな仕事”の積み上げが、国内の利益を押し上げている」と述べたほか、国際物流については「為替の影響もあり売上げは落ち込んだが、構造改革の効果もあり利益が残る体質になってきている」と説明した。
18年3月期は売上高6800億円(前期比2・2%増)、調整後営業利益295億円(0・1%増)、EBIT321億円(1・7%増)、親会社株主に帰属する当期利益200億円(6・9%増)を予想。売上げについては引き続き為替影響による減収分を見込む一方、新規受注やSGHグループとの“協創”で150億円分の積み上げを狙う。また、利益面では増益基調だが、次世代先進技術や働き方改革への投資分21億円を盛り込むことで前期並みとなる計画。中谷社長は「次世代技術の物流センターへの実装など展開を加速していく。また、働きやすい職場環境を整備する一環で、倉庫内の空調化を進めていく」とした。
■SGとの協創、17年度は150億円計画
前期からスタートしたSGHグループとの資本・業務提携に基づく“協創”では、初年度に売上ベース20億円、利益ベースで1・5億円程度の効果を上げた。17年度は売上げ150億円、利益10億円の押し上げ効果を計画。
中谷社長は「初年度のスタートは悪くなかった。17年度も思った以上に両社のリソースを融通し合えることが確認でき、感触は悪くない」と述べた。すでに東南アジアでのクロスボーダー輸送、バンテック車両による佐川急便の幹線輸送の請負など多くの協業がスタートしているが、今期は両社の顧客に向けたクロスセル活動を強化していく。
一方、当初のシナリオや目論見から外れたのが“宅配”。当初は佐川急便の宅配機能を取り込んだ形で顧客に提案するシナリオだったが、宅配料金が上昇傾向にある中で「いまはこの分野に立ち入らないほうがいいと判断している」(中谷社長)として、売上げ面での効果が伸び悩む可能性を示唆した。
(2017年5月2日号)