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20年度の国内貨物輸送量3・4%減=日通総研/貨物輸送見通し

2020.04.02

日通総合研究所(本社・東京都港区、青山陽一社長)はこのほど、「2019・2020年度の経済と貨物輸送の見通し」の改訂版を発表した。19年度の国内貨物総輸送量は下期の消費増税による個人消費や設備投資・住宅投資など民需の減少の影響を受け、前回予測よりも1・3pt悪化の2・0%減と見込んだ。
20年度は消費増税後の景気低迷に新型コロナウイルスの感染拡大の影響が加わり、景気悪化に拍車がかかると見込まれ、年度全体の輸送量は前回予測よりも0・2pt低い3・4%減と3年連続の減少を予測した。

そのうち、消費関連貨物は消費者心理の冷え込みや新型コロナの影響で2・9%減、生産関連貨物は鉱工業生産や設備投資、輸出の落ち込みを背景に4・3%減と大幅なマイナスの予想。建設関連貨物は公共土木工事の執行がなく住宅投資も低調なことから3・0%減の見込み。

鉄道コンテナは2年ぶり減少、トラックは3・9%減

20年度の国内貨物輸送量を輸送機関別にみると、鉄道コンテナは景気低迷による需要減を受け、0・6%減と小幅ながら2年ぶりのマイナスに転換。車扱は主要貨物の石油需要減に加え、石炭輸送の収量もあり、3・1%減と3年連続の減少の見込み。

営業用トラックは消費関連と生産関連ともに上期は貨物量が大幅に減少、下期は小幅増と予測。年度全体では3・9%減と低調な推移と予測する。
内航海運は建設関連の微減と生産関連の需要減を受け0・9%減となり、国内航空は新型コロナの影響や景気低迷により2・5%減と低調な推移が続く見込み。

輸出コンテナは微減、航空輸出は1・8%減に

国際貨物輸送をみると、外貿コンテナの輸出は米中貿易摩擦の一段落や新型コロナの収束により、19年度の4・9%減から20年度は0・4%減と若干持ち直すもののマイナスが継続。輸入は19年度が2・3%減、20年度も0・9%減と水面下の推移が続くと予測。

国際航空貨物の輸出では19年度は21・7%減、20年度は1・8%減と前年度を下回る動きが続く。半導体関連はAI、IoT、5G関連の授与拡大により回復が本格化。自動車部品はEV(電気自動車)シフトや電装化関連の需要が高まるが年内は低調に推移。一般機械・機械部品も小幅増にとどまる。一方、輸入では個人消費の前年度割れが続くことから低調な荷動きが継続し、19年度の5・1%減に続き、20年度も2・1%減と2年連続のマイナスの見込み。

4月以降、荷動きは若干の回復か?

荷主企業を調査対象とした荷動き指数(速報値)も発表。20年1~3月の予測値は前期(19年10~12月)実績から9pt低下して「マイナス38」とした。前回調査より12pt下振れとなった。4~6月見通しは「マイナス35」と3ptながらも回復する見込みだが、今後の新型コロナの収束状況などがからむことから予断を許さない。
業種別では1~3月実績は全15業種がマイナスとなり11業種が前期実績より低下するが、4~6月は食料品・飲料がゼロ水準まで回復するなど10業種で上昇を見込んだ。

トラック運賃は高水準続き、鉄道コンテナは下降気味

運賃・料金動向指数の実績と見通し(速報値)も発表された。トラックの運賃水準は他の輸送機関と比べ、依然として高水準が続いている。一般トラックの19年10~12月実績は「31」、20年1~3月実績は「21」と需要の緩みを受け低下するものの、4~6月見通しは「24」と若干の回復。特積みトラックは19年10~12月実績は「25」、20年1~3月実績は「18」と7pt低下するものの4~6月見通しでは「21」に戻すと予測する。

鉄道コンテナは19年10~12月実績は「11」、20年1~3月実績は「4」、4~6月見通しは「5」とやや下降基調。内航・RORO船は、19年10~12月実績は「12」、20年1~3月実績と4~6月見通しは「8」と低下が続く。

国内航空は需要減を反映し、19年10~12月実績の「5」から20年1~3月実績と4~6月見通しは「マイナス3」と急落。倉庫保管料は19年10~12月実績の「20」から20年1~3月実績は「9」と大幅に低下するが、4~6月見通しでは「15」と上昇する見込み。
物流コスト割合の速報値をみると、19年10~12月実績は「30」、20年1~3月実績は「23」、4~6月見通しは「24」と推移し、19年よりも低い水準での推移が予測される。
(2020年4月2日号)


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