新型コロナの影響で与党に支援要望=全ト協
全日本トラック協会(坂本克己会長)は18~19日にかけて、与党に対して新型コロナウイルス感染症によるトラック運送業界への影響や支援要望について説明した。その中で、3月に入ってからコロナウイルスの影響によって運送収入や輸送量の落ち込みが顕著になっているとして、資金手当への支援や雇用調整助成金の充実などを求めた。
全ト協は18日開催の公明党新型コロナウイルス感染症対策本部・国土交通部会合同会議、19日開催の自民党経済成長戦略本部・新型コロナウイルス関連肺炎対策本部合同会議、自民党国土交通部会に相次いで出席し、業界の現状や支援要望について説明。坂本会長と桝野龍二理事長が出席した。
説明では、トラック運送事業者に対して行った緊急アンケート(9日~13日、回答826者)の結果の一部を紹介。それによると、コロナウイルスの影響と思われる運送収入、輸送トン数の落ち込みが3月に入って顕著になっており、3月の運送収入の落ち込みが前年対比で平均290万円になっているとした。さらに、3月の運送収入が落ち込むと予想している事業者は全体の約7割を占めていることが明らかになった。
このほか、荷主からキャンセルされた金額は1月が平均298万円、2月が平均414万円と右肩上がりで増えており、3月は平均で652万円に達していることなどが示された。輸送品目別の運送収入では、3月平均で全品目が前年を下回っており、とくに引越し、ガソリン・軽油等石油石炭製品、プラスチック製部品・ゴム製部品、鋼材・建材などの落ち込み幅が大きくなっている。
資金手当て支援、雇用調整助成金の充実など要望
こうした状況を受け、全ト協では与党に対し、①ドライバーに対するウイルス感染防止に対するマスクや備品などの優先的な配布②資金手当てへの支援③雇用調整助成金の充実(ドライバーの雇用継続のため)④ウイルス感染防止のためトラック運送事業者が行う安全諸施策につながる正確な情報の発信⑤物流が滞ることのないよう、物流効率化・生産性向上や高速道路の利用促進に向けた諸施策の支援――を要望。
資金手当てへの支援では、当面の金融機関からの返済猶予や貸し剥がし防止、公的融資制度の一層の拡充、固定資産税の軽減等税制の特例措置――などを求めた。また、雇用調整助成金の充実では、緊急事態宣言が発出された地域に対する特例措置を全国に拡充(助成率=中小2/3→4/5、大企業1/2→2/3等)、教育訓練費について、リーマンショック時に措置された水準の拡充(1人1日当たり1200円→大企業4000円、中小企業6000円)を求めた。
(2020年3月31日号)