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【物流会社】ニチレイ/17年3月期、低温物流は増収増益、ほぼ計画通り

2017.05.16

ニチレイ(本社・東京都中央区、大谷邦夫社長)が9日に発表した2017年3月期における低温物流事業の業績は、売上高1868億8400万円(前期比1・1%増)、営業利益106億3200万円(6・9%増)だった。大都市圏で旺盛な保管需要を取り込む一方で、人件費や輸配送コストの上昇を業務改善などで吸収した。同日に開かれた決算会見で大谷社長は低温物流事業の実績を、「ほぼ計画通り着実に進捗した」と評価。18年3月期も増収増益を見込むとともに、既存事業の強化や積極的な投資で収益基盤をより強固にする。

セグメント別の業績は、地域ネットワーク事業は売上高884億8800万円(2・6%減)、営業利益29億1400万円(14・0%減)。スーパーマーケット向けの新設TC(通過型センター)の稼働が貢献したが、九州地域で輸配送機能を地域保管事業へ移管したことで減収し、利益面では同TCの立上げコストや荷役作業および輸配送費用がかさんで減益となった。
地域保管事業は、輸配送機能の統合に加え、関東および関西地区を中心に保管需要を着実に獲得。利益面でも業務改善などの施策が奏功して、売上高621億6900万円(8・3%増)、営業利益65億2900万円(19・9%増)と伸長した。

海外事業は欧州地域で小売店向け配送業務などの運送需要の取り込みが進んだ上、乳製品や畜肉・果汁など保管商材の集荷が拡大した。しかし、ユーロ安による為替換算影響やポーランドにおける顧客構成の見直しがあり、売上高320億3900万円(5・5%減)、営業利益11億2800万円(17・7%減)の減収減益に着地した。

今期および来期にかけては18年3月に建て替えが完了する東京団地冷蔵で、設備能力約3万9000tの冷蔵倉庫「平和島DC(仮称)」を開設予定。これにより、東京港湾地区の設備能力シェアが現在の11・5%から12・6%へと拡大する。また、欧州地域では子会社のユーロフリゴが蘭ロッテルダム港のマースフラクタ地区で冷蔵倉庫を増設する計画。同地区で既に倉庫用地を獲得しており、18年夏をメドに2万7000tの冷蔵倉庫を新設する。ASEANではタイに続く進出国を検討していく。

このほか、17年8月にはニチレイ・ロジスティクス東北の「仙台物流センター」(宮城県仙台市)で仕分棟を増設し、完成後の増加能力は延床面積2421平方m。同9月にはニチレイ・ロジスティクス九州の「鹿児島曽於物流センター」(鹿児島県曽於市)に加工設備を増設し、同増加能力は1240平方mとなる予定。

これらに合わせて、人手不足と作業コストの上昇に対応するため、倉庫内作業の革新に取り組む。具体的には移動ラックなどの設備を導入するほか、フォークリフト車載端末を導入して、作業指示の効率化やデータの蓄積を図る。また、無人フォークリフトの導入実験にも着手する。最新の設備で収集した作業データをもとにAI技術の活用による省人化と生産性向上を図る。

その上で、18年3月期における低温物流事業の業績は売上高1940億円(3・8%増)、営業利益106億3200万円(0・6%増)を予想。内訳は、物流ネットワーク事業で幹線輸送の収支改善や3PL事業の拡大が寄与し、売上高926億円(4・6%増)、営業利益35億円(20・1%増)の2桁増益見込み。地域保管事業では売上高638億円(2・6%増)、営業利益63億円(3・5%減)。海外事業は売上高327億円(2・0%増)、営業利益10億円(11・3%減)となる見通し。

(2017年5月16日号)


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