【物流会社】丸運/17年3月期は減収減益、輸出貨物取扱量が増加
丸運(本社・東京都中央区、荒木康次社長)の2017年3月期連結業績は減収減益だった。石油輸送量の減少や前年の流通貨物分野での合弁事業からの撤退の影響で売上高が減少した。不採算だった合弁事業からの撤退により利益面での改善があったものの、石油輸送量の減少やトラック輸送の減少などに伴い利益も減少した。
売上高は対前期比1・7%減の471億1700万円、営業利益は9・2%減の8億8000万円、経常利益は7・2%減の9億7800万円、当期純利益は42・0%減の5億7200万円となった。
セグメント別の業績のうち、貨物輸送は船舶利用運送で関東から九州向けの増加や栃木物流センター第2倉庫の竣工によるトラック運送の増加があったものの、一部既存顧客の契約解除があり売上高が減少した。国際貨物は国内からの重量品貨物輸送量が大幅に増加するとともに、中国国内の取扱量が丸運物流(天津)を連結対象に含めたことと中国の既存事業が堅調に推移し、売上高が2ケタの増加となった。一方、丸運物流(天津)の事業基盤構築のための初期投資によるコスト増が影響したことで利益は減少した。
18年3月期の連結業績予想は、売上高480億円(1・9%増)、営業利益10億3800万円(17・9%増)、経常利益11億円(12・4%増)、当期純利益7億1500万円(24・9%増)を見込む。
■19年度売上高は530億円目指す
同社はこのほど17~26年度の長期経営ビジョンと17~19年度の新・中期経営計画を策定し、12日に発表した。今年度からJXTGグループが新たに発足するなど経営環境の変化を受け、中計を再策定した。
同日会見を行った荒木社長は、「丸運グループ経営理念に基づき、長期ビジョンを策定した。今後10年間に毎年2%以上の成長を続け、20%以上の成長を目指す」と説明。その実現のために「ビジネス」「マインド」「コスト」「システム」の4分野でのイノベーションを行い、中期経営計画によりイノベーションを具体化することで成長戦略を実行していく。
数値目標として、17年度に売上高480億円・経常利益11億円、18年度に売上高506億円・経常利益14億円、19年度に売上高530億円・経常利益16億円を目指す。
荒木社長は「今後は国際貨物と流通貨物セグメントのウェイトを増していく。とくに海外事業については、成長戦略の要として積極的展開を図っていきたい」と意欲を示した。国際貨物事業では新規業務基盤・海外事業基盤の強化に注力し、16年度実績に対して19年度には17億円の増収を目指す。流通貨物事業では既存センターの業容拡大と新規センターの基盤確立を進めるとともに新規領域の開拓に注力し、同じく8億円の増収を目指す。
この他、M&Aによる新事業分野の展開やスポーツ関連品輸送およびオリンピック・パラリンピック関連分野での輸送事業を進め、成長案件として19年度で25億円の増収を見込む。
(2017年5月18日号)