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日本通運が2030年に〝無人倉庫〟を実現へ

2020.02.27

日本通運(本社・東京都港区、齋藤充社長)は倉庫、トラック分野での自動化・省力化を加速する。倉庫関連では、2030年頃をメドに、一部の倉庫での完全無人化を実現。併せて省力化により庫内作業負担を大幅に軽減し、女性や高齢者が働きやすい倉庫の労働環境を整備していく。トラック関連では点呼業務のデジタル化を目指す。

自動フォーク、積収クローラーで大胆な省力化

今後のロードマップによると20年度にはウェアラブル端末を装着して行う作業範囲を拡大するほか、自動搬送が可能なロボット台車の導入を進める。また、作業者の腰痛防止などにも効果のあるパワーアシストスーツの導入範囲を拡大。25年度には入出庫作業などで走行型双腕ロボットを活用し、30年度には一部の倉庫での完全無人化を目指す。併せて自動化の大幅な導入により、女性・高齢者の活躍範囲の拡大につなげる。
自動化の取り組みでは、19年上期から札幌東支店で自動フォークリフト(写真)4台と、自動フォークリフトと連携して稼働する自動垂直昇降機(オートレーター)1基を導入し、出荷準備作業を自動化。

今年3月からはクローラー型自動搬送機(リモート積収クローラー)を航空貨物ターミナルなどで試験運用を開始する。積収クローラーは日通とトピー工業が共同開発した自動搬送支援機器で、凸凹や傾斜、段差のある床面でも大重量を積載して踏破できる機能がある。小回りが利くため狭いスペースでもロールボックスの整列作業が行え、リモコンで操作するため人間はロールボックスに近づく必要がなく、安全な作業が可能となる。

本社で取り組み概要を説明した同社ロジスティクスエンジニアリング戦略室の中野喜正専任部長は「積収クローラーの活用により、ロールボックス搬送作業時の確保や作業負荷軽減を実現できる。人手不足の解消や機械化により女性や高齢者などの職域拡大にもつながる」と強調した。

完全無人トラックの実証実験を北海道で実施

トラックの分野では自動運転や隊列走行の実用化に取り組む。昨年8月にはUDトラックス、ホクレン農業協同組合連合会と連携し、レベル4技術(特定条件下における完全自動運転)を用いた大型トラックによる自動運転の実証実験を実施。その際には実際運搬に近い環境を再現するため、北海道庁などの協力を得て、国内初となる公道を一部含むルートでの試験走行を行った。

そのほか、点呼業務の効率化と精度向上を目指し、自動点呼機の実用化にも取り組む。この取り組みは18年の国土交通省の交通運輸技術開発推進制度による「機械化技術の採用による点呼の精度向上」研究業務として採択され、実証実験を19年からスタート。今年度後半には自動点呼機の試作2号機を製作する予定で、将来的には車両整備以外の大部分の点呼業務についてデジタル化を実現することが狙い。
運行管理者の業務は、ドライバーの労務管理から、運行スケジュール管理、ドライバーの教育など幅広く、とくに乗務前点呼・乗務後点呼はドライバーごとに異なる時間帯で実施するため多くの時間・労力を費やしており、業務の効率化と高度化が課題となっていた。
(2020年2月27日号)


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