好材料少ない今春闘、厳しい交渉を予想=運輸労連
運輸労連の難波淳介委員長(写真)は19日に記者会見し、これからヤマ場を迎える春闘についての考え方を述べた。難波氏は「経済状況の悪化と春闘との関わりについて、経営者にもう一度目を向けて欲しい。GDPがマイナス成長に入ったとの発表があるが、大きな要因はGDPの6割を占める個人消費が落ち込んだこと。春闘で賃上げを避ける動きが顕在化すれば、個人消費をさらに押し下げることになりかねない。企業側もしっかりと肝に据えてほしい」と述べ、厳しさが見込まれる今春闘に向けて企業側を牽制した。
運輸労連は1月末に開催した中央委員会で春闘方針を確認。統一要求として1万1000円中心の賃上げ、一時金は年間120万円以上、うち夏季一時金は60万円以上という方針を決めた。18春闘、19春闘と2年連続で平均妥結額2000円台を確保するなど一定の成果をあげてきたが、今春闘は景気減速によって企業側の収益が低迷するなど好材料が少ないのが実情。春闘方針を説明した文山博信書記次長は「過去2年の春闘では、好材料を前提にいかに労働者に還元するかがテーマだったが、今春闘は好材料に乏しい。今いる人財をいかに守るかが重要。また、働き方改革によって労働時間は減ったものの、賃金まで減ってしまっている。賃金確保に重きを置いていきたい」と説明した。
難波氏は月例賃金と一時金との関わりについて、「一時金は半期ごとの業績への配分であり、業績に連動することはある程度飲み込まざるを得ない。それに対して、賃金は新たな人材を確保していくためにも企業にとって大事なもの。経営者もそこの思いは共通しているはず。相当厳しい交渉にはなるが、そこにこだわっていきたい」との見解を示した。小畑明書記長も「連合も月例賃金の引き上げにこだわっている。とくに運輸産業はまだまだ(望む水準に)到達していない。運動論的にも、賃上げが苦しいから一時金に逃げてしまうと全体が沈んでしまう。そこは歯を食いしばっていこうと傘下の組合に伝えている」と補足した。
さらに、国土交通省が進める標準的運賃の告示が4月以降にずれ込む見通しであることについて、難波氏は「とくに中小組合にとって今春闘での交渉の後押しになると期待していたが、時間的に難しい。来期以降の大きな後押しにしていきたい」と述べた。
(2020年2月25日号)