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特車通行に登録制度を導入=国交省

2019.11.05

国土交通省は、特殊車両通行許可制度の審査日数の短縮化に向け、デジタル化の推進による自動審査の拡大と機能向上を進める。また、国による手続きの簡素化・一元化を図るため、従来の許可制度のほかに車両登録に基づく新制度を創設。現在、自動審査システムで手続きが完了する部分では審査日数10日を達成しているが、全体の平均日数は28・5日となっており、一連の取り組みを通じ、2020年度中に全体の平均審査日数を10日程度に短縮することを目指す。
10月29日に開催した社会資本整備審議会道路分科会基本政策部会内に設置した物流小委員会(委員長=根本敏則・敬愛大学教授)の第20回会合で方針を示した。
同省では近年の特車通行許可申請件数の大幅な増加に対し、デジタル化による自動審査システムや制度的改善に取り組んでいるが、自動審査システムで手続きが完了する部分では審査日数10日(8月現在で平均8・5日)を達成したものの、地方道など電子データ化の遅れている部分など自動審査システムだけで完結しない申請については短縮化が進んでいない。8月現在、自動審査システムで完結しない申請については平均35・7日を要しており、全体平均では28・5日となっている。60日を超えるなどピークだった17年度よりは改善されたものの、さらなる審査日数短縮に取り組む。

新制度では「登録車両」に通行可能経路を示す

デジタル化による改善では、自動審査の拡大・機能向上に向け、道路情報の電子データ化を加速する。現在、高速道・一般国道は100%電子データ化が完了しているが、都道府県道・市町村道など地方道の電子データ化は約7割にとどまっているため、申請件数が多い地方道では国が代行して電子データ化を行う。車載型センシング技術を活用して今年度中に地方道約4000㎞のデータ化を行い、年間申請件数5件以上の地方道では電子データ化作業を完了する予定。
また、自動審査システムの処理能力を向上させ、全ての通行可能経路を一括して表示できるように機能向上を図る。さらに、過去の許可実績のデータベース化や橋梁構造・車両構造に関する処理の精緻化を進め、迅速できめ細かな審査を実施することで通行可能な経路の実質的な拡大につなげる。
制度面では、デジタル化の推進を前提とした上で、従来の許可制度のほかに新たな制度を創設する。新制度では、ETC2・0を搭載し、OBW(車載型重量計)による重量報告を行うなど要件を満たした車両が登録を受けた上で、個々の車両の重量等に応じて国が提示した通行可能経路に限って許可なしで通行できる。地方道についても国が一元的に通行可能経路を提示する。新制度運用は国が定める外部機関が行うこととしている。
事業者は通行可能となる経路を提示するよう制度運用機関に求める。運用機関は事業者の請求に対し、通行可能経路を即時通知する仕組みとする。登録車両は提示された通行可能経路を自由に選択できる。

ETC2・0搭載や重量計測の定期報告が要件

登録の際は車両の仕様、ETC2・0車載器、積載可能重量、重量の把握方法などを入力条件とし、即日登録とする考え。ただし、特に寸法や重量が大きな貨物を運搬する車両については従来通り許可申請が必要となる。国は許可制度における手数料に代わり、登録などに必要な費用を手数料として徴収する。
一方、登録を受けた車両の効果的な重量確認を行うために、国はETC2・0による通行経路記録のモニタリングを行う。また、OBWや重量計などによる重量計測の記録や荷主からの依頼書などの定期報告を求める。現在、OBWは日本で多く用いられているサスペンション形式に対応した製品の開発・普及が進んでいないことから、当面の間は重量計などによる重量計測の記録や荷主からの依頼書で重量を確認する。

過積載取り締まりも強化、警告書の発出を拡大

併せて道路保護の観点から重量把握を徹底し、取り締まりを強化するなど過積載の抑止を図る。過積載の履歴情報を国や高速道路各社、地方自治体間で共有するとともに過積載を検知するWIM(自動計測装置)の増設や現地取り締まりを増加させる。また、WIMで確認された違反に対し、累積回数を引き下げることで事業者への警告書発出を拡大する。同時に違反者の公表基準を引き下げることで抑止力を高める。
会合ではこのほか、事務局が重要物流道路での台風19号による被災箇所の道路復旧作業について報告。また、商業施設の沿道立地による交通渋滞を緩和することを目的に来年1月以降に実施予定の交通影響予測などを行う道路交通アセスメントについて概要を説明した。
(2019年11月5日号)


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