【トラック輸送】今が「改革・改善」のチャンス=大ト協/総会
大阪府トラック協会(辻卓史会長)は9日、総会を開いた。辻会長(鴻池運輸)は、「労働力の確保をはじめ諸問題の解決・改善に努め、業界に課せられたライフラインを支える重要な役割を果たしていく」とし、「新聞、テレビ等で連日トラック業界の厳しい実態が報じられ、世間から注目され理解も深まっている。従って今が『改革・改善』のチャンス。ぜひ頑張ろう」と呼び掛けた。
辻氏は、今夏をメドに改正される標準運賃約款や書面化推進ガイドラインについて「運賃と料金の区別をはっきりさせる方針が示された。運賃約款の改正案では、運送の対価である運賃とは別に、積込み料や取卸し料を別料金と明確化するとともに、荷待ち費用を待機時間料とするなど、これまで記載がなかった料金を整理し、運送以外のコストを適切に収受するための方策が提示されている」と説明。
書面化ガイドラインについても運賃約款改正に準じて改正が実施され、次期総合物流施策大綱でも同じ趣旨の施策が織り込まれることから、「行政も我々の業界の実態に鑑み、種々手を打ってくれている。後は、事業者がこれらをテコに適正運賃・料金収受に向け、荷主との交渉にあたりどれだけ頑張るかにかかっている」と述べた。
労働力不足問題では、「引き続き中学生の職業体験や学校への出前事業に取り組むなど、業界への若者の関心を高めるべく積極的な活動を展開している。協会ホームページに『人材確保対策特設ページ』を設け、求人等に関する最新の情報を会員に提供できるようにしている」とし、大ト協が参加する大阪府の人材確保推進会議の進展にも期待を寄せた。
なお、大ト協では交付金事業について、厳しい財政状況から来年度以降、これまで通りの事業計画が組めない状況に陥ることから、新設した「組織及び財政を検討する特別委員会」で今後の事業展開を早急に検討していく。
来賓の若林陽介近畿運輸局長は、「トラック運転手の長時間労働の要因として荷主先での荷待ちや附帯作業が挙げられ、荷主の理解と協力なくして長時間労働の抑制、生産性の向上の取り組みは難しい」と指摘。トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会とそのパイロット事業を通じて「課題解決に向けた方向性を打ち出していく」とした。
(2017年6月15日号)