キユーピーが五輪に備え、輸送トライアルを実施
キユーピー(本社・東京都渋谷区、長南収社長)は7月27日に、2020年東京オリンピック・パラリンピックに備えた輸送トライアル「スムーズビズ・テスト」を実施した。東京都の「スムーズビズ推進期間」に合わせ、大手卸およびメーカー各1社の協力を得て行ったもの。トライアルでは大きな課題こそ抽出されなかったが、納品時間帯を遅らせた一部の卸側物流センターでは庫内業務への影響も見られた。今後はトライアルで利用したトラックのドライブレコーダーのデータなども検証しながら、来年のオリンピック・パラリンピック本番に向けて準備を進める。
今回のトライアルは、競技が多い都心部および湾岸エリア周辺を対象とした納品の4パターンを想定して実施した。パターンAではキユーソー流通システム(KRS)五霞営業所(茨城県五霞町)から千葉エリアへの配送で納品時間を遅らせ、パターンBではKRS東京SLC(東京都府中市)から千葉エリアへの配送で納品時間を早めた。パターンCでは五霞から浦安エリアへの納品時間を遅らせるとともに、出荷作業と重なる入荷への影響を検証。パターンDでは、東京SLCから川崎エリアへの輸送を通常運行通り走らせ、渋滞・規制による時間影響を計った。
その結果、パターンAでは、交通渋滞の影響が少なく、納品先にも予定より早く到着し、作業における影響はほぼなかった。パターンBも、早朝のため交通渋滞の影響はなく、着荷主側では混雑する前に荷物を降ろすことができ、渋滞や規制の回避、作業の平準化が見込まれた。ただ、シフトの見直しを含めた体制構築の必要性も明らかになった。パターンCでも交通渋滞の影響は少なかったが、納品先で店舗納品分のステージング場所が減ってしまうなど、業務への影響が見られた。パターンDでは交通渋滞による到着時間や作業への影響はほぼなかった。
キユーピー上席執行役員ロジスティクス本部長の藤田正美氏は8月28日の「ロジスティクスカンファレンス2019」で一連のトライアルの結果を報告し、今回のスムーズビズ期間中の交通混雑量が前年に比べて首都高で約7%、一般道で約4%減少されたことを指摘。平時よりも交通量が減ったことで運びやすかったが「今回うまくいったことを楽観視するのは危険」として、今後さらに対策を検証していく考えを示した。
キユーピーでは東京オリンピック・パラリンピック大会期間中の対応策として、交通混雑や規制のあるコース・時間・日を避けた配送計画を立てるとともに、受注翌々日納品で配送車両の効率的かつ臨機応変な運用につなげる。さらに、通常よりも簡易な検品レスを普及させることで荷役作業の省力化とドライバーの負荷軽減、車両混雑の緩和で納品時間短縮を図る。翌々日納品については、18年の年末、19年のGWおよび夏期繁忙期に、全国の3温度帯商品を対象として既に導入している。
(2019年9月3日号)