ドライバー不足、27年度に28万人に拡大=鉄貨協が予測
鉄道貨物協会(鉄貨協、瀬山正理事長)はこのほど、約10年後の2028年度にトラックドライバー不足が約28万人まで拡大するとの将来予測を発表した。17年度の不足数が約10万人程度であることから、今後10年間で不足数が17万人増加する。予測通りとなれば、「運べない危機」のさらなる深刻化は避けられず、物流のあり方について根底からの見直しが迫られそうだ。
需給乖離が年を追うごとに深刻化
予測は、必要となるドライバーの人数(需要量)と供給可能な人数(供給量)とのギャップから算出している。それによると、28年度に必要となるドライバー数117・4万人に対し、供給可能なドライバー数は89・6万人にとどまる結果、不足数は27・8万人に達する。
需要量と供給量の変化を見ると、需要量が拡大するのに対し、供給量が減少の一途をたどることで、需給の乖離が年を追うごとに拡大していく構図だ。その結果、17年度の不足数10・3万人から20年度は14・4万人となり、さらに25年度には20・8万人、28年度には27・8万人まで拡大する。
背景には、需要面では国内貨物輸送量の緩やかな上昇に加え、営業用トラックと自家用トラックの輸送分担率、いわゆる営自比率の変化も関係している。17年度における営業用トラックの分担率が63%であるのに対し、10年度後の28年度には68%まで増加することが、ドライバー不足の流れに拍車をかけている。
一方、供給面では50歳未満のドライバーの減少が大きな課題だ。予測では、大型ドライバー、中型・普通ドライバーとも、50歳以上のドライバーは増加するものの、50歳未満のドライバーは減少する。このため、28年度以降もドライバー不足傾向に歯止めがかからないことが予想される。
ドライバー不足は想定上回るペースで悪化か?
鉄貨協では14年にも同様の調査を実施。その時は、20年度におけるドライバー不足を10・6万人と予測していた。一方、今回の予測では同じ20年度の不足数を14・4万人と予測しており、4万人ほど悪化していることになる。
また、ボストンコンサルティンググループが17年に発表した見通しでは、27年度に約24万人が不足するとの予測だった。
今回の調査結果は、そうした予測を上回る結果となり、ドライバー不足は想定以上のスピードで悪化していることがうかがえる。
(2019年6月6日)