倉庫3団体がBCPなどテーマに意見交換会
倉庫業青年経営者協議会(倉青協、池田雅一会長)、日本危険物倉庫協会(危倉協、瀬戸口仁三郎会長)、冷蔵倉庫業青年経営者協議会(青冷協、松村勲会長)は17日、東京都内でBCP(事業継続計画)や安全・品質向上策をテーマに意見交換会を開催し、37人が参加した。取り扱い貨物が異なる倉庫3団体幹部が一堂に会するのは初めて。参加者からは、災害の経験に対する取り組みが報告されるとともに、好事例や衛星電話の運用に関する情報共有など活発な議論が行われ、相互理解を深めた。
冒頭、各団体を代表し、池田会長(東京倉庫運輸)は「他団体との交流は前会長の時代から始まった。今日も活発な意見交換をしたい」、瀬戸口会長(築港)は「危険物倉庫に関し知りたいことがあれば遠慮なく尋ねてほしい」、松村会長(焼津冷凍)は「情報交換しながらいろいろなことを前向きに進めたい」と挨拶した。
BCPに関して、災害対応訓練や非常食の取り扱い、同業者との災害協定締結の事例などが紹介されたほか、「社員が会社の中で避難できる環境づくりが大事」(青冷協)、「事業継続には従業員の危険物の扱いに関するノウハウが不可欠」(危倉協)など、災害からの復旧における社員の役割の重要性が指摘された。
災害マニュアルに関しては、その有効性と限界の両方が報告され、「BCPでなく、BCM(事業継続マネジメント)であるべき。『こういうことがあるかもしれない』と想定するだけでも、実際に起きた時の動きが変わってくる」(青冷協)という声もあった。また、倉青協からは停電時には災害の大きさが現地では把握できないという課題も指摘された。
このほか好事例として「災害対策本部をただちに立ち上げ、外部との窓口を対策本部長である社長に一元化した」(危倉協)が紹介され、「様々な災害の経験を自分の頭の中からこぼれないように置いておき、次世代に継承するのは経営トップの仕事」(同)との意見もあった。
安全と品質に関しては社会問題になった“バイトテロ”などを念頭に、「非科学的と言われるかもしれないが、日本古来からの心の教育もブレーキになる」(青冷協)、「親会社の化学メーカーのリスクアセスメントなどのノウハウを吸収する」(危倉協)、「危険物、毒劇物の取り扱い資格を取得させている」(同)などが紹介された。
なお、倉青協は50才以下の倉庫業若手経営者が「勉強と親睦」を指針に掲げ、様々な活動を展開。青冷協も50歳以下の全国のオーナー系冷蔵倉庫の経営者から成り、所管設備は全国の17・2%を占める。また、危倉協は安全で信頼できる危険物物流を提供していくことを目的に設立され、各種研修、行政への提言も行っている。
(2019年4月23日号)