【荷主レポート】20ftコンテナでユーザーへの直送拡大=北越コーポ
北越コーポレーション(本社・東京都中央区、岸本晢夫社長)は昨年10月から、新潟工場(新潟市東区)からの紙製品の出荷で20ftコンテナ45基を新たに投入し、鉄道へのモーダルシフトを推進している。トラックドライバー不足に対応するとともに、エンドユーザーへの直送を拡大するのが狙いで、同工場からの鉄道輸送比率を4割程度まで高めたい考えだ。
同社のコア事業は、洋紙事業、白板紙事業、特殊紙事業、紙加工事業、パルプ事業の5つである。物流全般は本社の物流企画本部が担当し、大阪工場以外の新潟工場、紀州工場、関東工場(市川)、関東工場(勝田)、長岡工場では100%子会社の北越物流が構内作業や運送手配を手掛けている。
紙・板紙の需要はとくに印刷・情報用紙で前年比3~5%の減少傾向で推移しているが、「それ以上にトラックドライバーが減少し、需要期にトラックが確保しにくい。とくに巻取り紙は『転がし積み』という特殊な荷役作業を伴い、そうした技能を持つドライバーが少なくなっている」と高橋範男物流企画本部物流企画部物流企画担当課長は話す。
主力の新潟工場では鉄道の側線を有し、1941年焼島駅開業以降から鉄道輸送を実施。5年前までは同工場出荷分の輸送分担率はトラック70%、鉄道30%とトラックが主体だったが、年々、鉄道コンテナ輸送を増やしている。従来は12ftコンテナで出荷していたが、納入先への直送比率向上を目指す中で課題が浮上した。
トラック不足対応と直送比率アップが課題
二次配送拠点を経由せず、12ftコンテナでエンドユーザーに巻き取り紙を直送しようとすると、「転がし積み」ができない。トラック不足で鉄道コンテナ輸送を拡大したいが、12ftコンテナでは直送比率を上げられないことがネックとなった。そこでまず注目したのが31ftコンテナだ。
31ftコンテナは10tトラックと同じ内容積で、「転がし積み」にも対応できるためエンドユーザーにも直送できる。15年から大阪貨物ターミナル駅、京都貨物駅向けに運用開始したが、エンドユーザーの構内や周辺道路事情によって、トレーラでは納入できないケースも多く、直送比率が上がらないことが分かった。
そこで新たな候補に浮上したのが20ftコンテナ。20ftコンテナはJR貨物の所有数が少ないため、私有コンテナ45基を自社で製作・保有。積載率を高めるため不要な装備をなくして軽量化し、通常の20ftコンテナが8・7tしか積載できないところを10t積めるようにした。また、パレット貨物に対応するためラッシングベルトのフックロックも取り付けている。
新潟工場から関西方面への輸送で昨年10月から運用を開始。12ftコンテナ(5t)の倍を一度に輸送でき、トラック輸送に比べCO2排出量を約9割削減できる。なお、関西のエンドユーザーに納入後、空になったコンテナにはパレット貨物を積んで返送することができ、復路でのコンテナ活用を呼び掛けている。
このほか新潟工場からの出荷では、関東発のトラックの帰り便の有効活用を進めている。販売戦略の一環として、前日の夕方の受注で翌日午前中に納品する“クイックデリバリー”サービスを提供しているが、新潟発のトラックが減っていることもあり、関東から新潟に荷物を運んでくるトラックの帰り荷に紙製品を積んで戻す。
海上輸送の拡大も検討する。新潟工場の出荷先は国内製品で東京、名古屋、大阪の3大都市圏で8割を占める。北海道、九州向けではRORO船を活用しているが、3大都市圏への出荷はトラックと鉄道輸送のみ。受注の前倒しも念頭に、新潟~青森~東京、新潟~門司~大阪などで海上ルート活用の可能性を探る。
(2019年3月28日号)