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全ト協が健診フォロー、ハイリスク者対策を強化

2019.03.19

全日本トラック協会(坂本克己会長)は、2019年度の睡眠時無呼吸症候群(SAS)スクリーニング検査への助成を拡充するとともに、「運輸ヘルスケアナビシステム」を活用し、ドライバーの健康診断のフォローアップやハイリスク者の早期発見、その後の治療対応を支援する。さらに中小事業者を対象とした血圧計の導入助成、ドライバーの健康の自己管理ツールの提供にも取り組み、健康起因事故対策を一層強化する。

運輸ヘルスケアナビシステムを活用

国土交通省の調査によると、各種スクリーニング検査のトラックの受診率は、SASで34%、脳血管疾患で5%、心臓疾患で3%とバスに比べて低水準にとどまっている。こうした中、全ト協のSASスクリーニング検査助成事業の申請状況の推移をみると、13年度以降、事業所数、申請人数ともに増加傾向にある。

18年10月に横浜市内で起きた、SASと診断されていた運転手によるバス乗客の死亡事故を受け、SAS対策への関心が高まる中、SASスクリーニング検査助成事業費として前年度比3000万円増となる1億円を計上。検査後の治療状況などを把握するため、新規でフォローアップ調査費として2000万円を予算化した。
ドライバーの健康診断データを基に健康状態の把握とハイリスク者の発見を容易に行える「運輸ヘルスケアナビシステム」を活用した定期健診のフォローアップも強化する。18年度は100社・約5000人が参加。19年度は150社・7500人、21年度には500社・2万5000人の参加を目標とする。

同システムに参加した17年度のハイリスク者の健診結果を調べたところ、6割のドライバーで基準値以上の該当項目が減少。肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧の4つが併発している「死の四重奏」も4人中3人で改善が見られた。血圧値改善が見られた割合は8割に達し、うち4割強で高血圧リスクが解除された。

点呼時の血圧測定促進に向け、19年度は血圧計導入促進助成事業費として18年度と同額の1億円を予算化。全ト協の18年度「過労死等防止・健康起因事故防止セミナー」で行ったアンケートで点呼時に血圧計を活用している事業者は3割未満であることから、100%実施をめざし血圧計の普及拡大に努める。

また、今年度作成した「トラックドライバーのセルフケアチェックノート」(写真)を10万部配布する。運行前にドライバー自身が健康状態をチェック・記録し、ドライバーの健康への意識改革につなげるもので、運行管理者は、ドライバーの自己申告およびセルフケアチェック、バイタルサインの測定結果から就労可否を判断できるようにし、過労死、健康起因事故の未然防止に役立てる。
(2019年3月19日号)


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