ズームアップ 20ftコンテナの輸送はお断り?
20ftはやりません――。海上コンテナドレージで20ftコンテナの受注制限が広まっている。20ftは40ftに比べ運賃が約3割安く、ドライバーの給与にもそれが反映されるため、「20ftの仕事を断ることが、ドライバー確保の王道だ」(主要港地区の海上コンテナ輸送会社)という。海コン業者は戦略的に20ftのシャーシを処分し始めており、40ftコンテナとの“運賃格差”が是正されない限り、20ftは運べなくなる可能性もある。
40ftの運賃は1・5倍、ドライバーに不公平感
「20ft? うちシャーシありませんから」。大阪港のある海コン業者は20ftコンテナの輸送依頼をこう断った。この5年間で20ftのシャーシ十数台を処分し、40ftに特化した。「大阪はアパレルの輸入港だか、小口で少しずつ持ってくるため20ftが多い。また20ftによる原料の輸入も多い。同じ距離を運んでも40ftだと1・5倍の運賃がとれる。20ftをやめたら収支も良くなった」と話す。
ドライバーの“海コン離れ”の要因のひとつとされるのが、20ftと40ftの運賃格差とそれに伴う不公平感だ。「給与と連動してくるため、ドライバーは『何でオレが』と20ftを嫌がる。20ftでなおかつ待機時間が長い仕事だったりすると、そのドライバーは戻ってこない」。20ftを40ftに切り替えて受注していくことは、ドライバーをつなぎとめるカギだという。
輸送にかかる人件費、燃料代は変わらないのに…
国際海上コンテナドレージの運賃は、昭和58年当時の運輸省タリフを基準にしているが、20ftと40ftの運賃格差は、コンテナリゼーションが本格化する前の日本で40ftがまだマイナーだった頃の名残りだ。現在は40ftがメイン、それもハイキューブタイプが主流で、20ftはアパレルなど小口多頻度貨物、原料など重量勝ちの貨物、タンクコンテナの輸送で主に使用されている。
その名残りが現在も残っており、荷主や海貨業者はドレージ料金を取り決める際、昭和58年タリフの料金を元に料率で運賃を設定している。36年前のタリフでも20ftは半分の50%すら海コン業者は収受できていない。40ftも40%台が通例で、20ftが40ftと同率になるには、同距離で40ftの料率が40%だと20ftは62%。40ftが45%の料率であれば20ftは70%の料率で40ftと同料金。海コン業者がどちらを取るかは明白だ。
今まで荷主の要望に応えて20ftシャーシをそろえていたが、ここへきて限界が見えてきた。海コン業者はこう言う。「20ftと40ftの輸送にかかる人件費のコストは同じ。40ftのシャーシは全長12mだか、20ftは9m。重さも長さも“半分”と誤解されやすいが、燃料代も変わらない。むしろ重量物の3軸20ftシャーシの方がタイヤに圧力がかかりやすいので、タイヤのもちが悪い。限られた経営資源を20ftには投入したくない」。
(2019年2月7日号)