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荷動きは堅調続く、トラック運賃のさらなる上昇も

2018.11.01

日通総合研究所(本社・東京都港区、青山陽一社長)が10月26日に発表した「企業物流短期動向調査(日通総研短観)」9月調査によると、国内向け出荷量「荷動き指数」の7~9月実績(見込み)は「6」となり、前期(4~6月)実績の「3」から3pt上昇した。2017年7~9月にプラスに転じてから5期連続のプラス。続く10~12月の見通しは「11」となるなど荷動きは当分の間好調が続きそうだ。一方、運賃・料金の動向指数をみると、一般トラック、特積みトラックの10~12月見通しをみると、一般が1pt上昇の「42」、特積みが横ばいの「36」と依然として高水準。年末に向かってトラック運賃の上昇圧力が一層強まりそうな気配だ。

足元の荷動きは堅調、トラック運賃にはさらなる上昇圧力も

今回の荷動き動向調査は、製造業・卸売業の主要2500社のうち855社から7~9月の実績と10~12月の見通しについて9月初旬時点で得た回答を集計した。

同日、本社で会見した佐藤信洋プリンシパルコンサルタントは国内の荷動きについて「4~6月実績は景気の踊り場入りを反映し、1~3月の「10」から7pt下降の「3」となったものの7~9月実績は「6」に改善した。10~12月見通しは「11」に上昇しており、足元の荷動きは堅調さが続いている」と説明。「地域別の荷動きも4~6月は4地域がマイナスだったのが7~9月、10~12月は全地域がプラスを示し、全体でも上向き傾向にある」と説明した。

トラック輸送を取り巻く環境については「ドライバー不足は依然として厳しいままだ。軽油価格も8月までに2割以上上昇していることもあり、運賃は引き続き上昇していくだろう」と述べ、「いったん軽油価格が下がっても、現在の国際情勢をみて原油の先高感もあることから、軽油価格は再び高騰する可能性もある。そうなると運賃上昇にはさらに拍車がかかることになる」と指摘した。

運賃・料金動向指数は、7~9月実績(見通し)は一般トラック、鉄道コンテナ、倉庫保管料の3モードが上昇、内航コンテナ・RORO船が横ばい、10~12月見通しは鉄道コンテナ、一般トラック、内航コンテナ・RORO船の3モードが上昇。
そのうち、一般トラックの7~9月実績(見込み)が「41」で4~6月実績より1pt上昇、10~12見通しはさらに上昇し「43」と上り調子にある。

特積みトラックは4~6月実績の「38」から7~9月実績(見込み)が「36」と2pt下降した後に、10~12月見通しは「36」と横ばいを保った。10~12月見通しの全輸送モードの運賃・料金指数の単純平均「23」と比べて高水準のままであり、当分の間、運賃上昇の圧力は高いままのようだ。

鉄道コンテナ利用は冷え込んでいく?

荷主企業がどの輸送モードを利用するかの傾向を示す「輸送機関利用の動向指数」をみると、7~9月実績(見込み)は一般トラックなど4機関がプラスとなったのに対し、鉄道コンテナ、国内航空の2モードがマイナス。10~12月見通しは、一般トラック、特積みトラック、宅配便がプラスとなった一方、鉄道コンテナなど3モードがマイナスとなった。

とくに台風被害による山陽線不通の打撃を受けた鉄道コンテナは7~9月が「マイナス28」と23pt悪化しており、10~12月は若干回復するものの「マイナス21」と7ptしか回復しておらず、ゼロ水準以下のまま。これまで鉄道コンテナはモーダルシフトの受け皿として追い風を受けていたといえるが、大規模な自然災害によりウィークポイントが浮き彫りになったことから荷主サイドの利用意欲にやや陰りが出てきているようにもうかがえる。

佐藤氏は「鉄道コンテナの利用動向指数は厳しい数字だ。トラックや内航など他モードから、鉄道輸送利用へマインドがもどるのには時間がかかるかもしれない」と述べた。一般トラックと特積みトラックの指数は高く、一般の7~9月と10月~12月は「12」、特積みがそれぞれ「3」と「6」となったことに対して、「トラックの利用動向が上向きとはいえ、供給できる輸送力は限界状態だ。このまま大勢がトラック輸送に向かうということにはならない」と指摘した。

物流コスト割合は緩やかに上昇

売上高に対する物流コスト割合の動向指数は、7~9月実績(見込み)は4~6月より2pt上昇の「39」、10~12月見通しはさらに上昇し「40」となった。佐藤氏は「4~6月と7~9月実績と10~12月見通しの全期において、全業種の動向指数はプラスとなっている。荷主は人手不足によりトラック運賃・倉庫保管料が上昇基調にあることは十分認識している。今後も緩やかながら物流コスト割合が上昇していくことは織り込み済みのようだ」と語った。
(2018年11月1日号)


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